<ナビスコ杯:磐田3-1川崎F>◇準決勝第2戦◇10日◇等々力

 まさにヤマザキナビスコ杯だ。磐田は川崎Fを破り、準決勝2戦合計3-2として01年以来9年ぶりの決勝進出を決めた。決勝点を挙げたのはU-21日本代表FW山崎亮平(21)。後半23分から途中出場すると、同33分にプロ初ゴールを決めた。バセドー病や骨折で出場機会を逸してきたプロ4年目のFWが、大一番で開花した。

 目の前に立ちはだかる相手しか視界に入っていなかった。1-1で迎えた後半33分、MF那須のボールに山崎が反応した。中央のスペースに転がるボールを拾うと、ゴールめがけて一気に加速。「GKが触れないところを狙った」。右足でゴール左に流し込み、これが決勝点となって決勝進出を決めた。FW前田、DF駒野を日本代表で、GK川口を故障でと、チームの顔を欠く中、途中出場の若者が主役になった。「前半からあそこでチャンスが生まれていた。狙い通りです」と、遠慮気味に笑った。

 入団当時、低空ドリブルで突破する姿に、元同僚のJ2札幌FW中山雅史から「ギュンギュン」と名付けられた。周囲からは「将来面白い選手」と言われ、08年には北京五輪世代に飛び級招集。しかし、活躍を度重なるけがと病気が阻み続けた。北京五輪直前に左足第5中足骨を骨折し3度の手術でシーズンを棒に振ると、昨年4月には通称バセドー病と呼ばれる「甲状腺機能亢進(こうしん)症」と診断され、約3カ月間実家の千葉で療養した。試合どころかピッチからも遠のき「結果を残さなければ…」と焦れる日々を送った。

 プロ4年目を迎えた今年1月、あまりに続く不幸に、クラブスタッフから勧められて磐田市内の神社へ向かった。5000円奉納して約30分間、座禅を組み、おはらいを受けた。「僕はあまり信じないですけど」と話すが、今季はここまで大きな離脱はない。それどころか、プロ1号が最高の場面で飛び出し「ここまで長かったけど、これがスタートだと思ってここからまた頑張りたい」と喜んだ。

 12年ロンドン五輪世代として11月のアジア大会向け、同2日に集合する予定。決勝は翌3日に国立で行われるが「まだ何も成し遂げていない。決勝には出たい」と出場を熱望。もはやヤマザキナビスコ杯に欠かせない。【栗田成芳】