磐田の日本代表FW前田遼一(29)のJ1通算100ゴールを、「あたり前田のクラッカー」が後押しする。現在97得点の前田の100得点達成に備えて、前田製菓が定番商品「前田のクラッカー」の前田遼一バージョンを用意していることが25日、分かった。磐田側が同社に打診して生まれた「ダジャレ企画」で、既に特製デザインも決まり、約1万5000袋を準備。記録達成次第、ホームのヤマハスタジアムでの試合で観客全員に配られる。

 「オレがこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー」。60年代、俳優の故藤田まことさん(享年76)のフレーズで、大流行した商品が、新たな“ダジャレ”企画で、再び世間の注目を集める。前田のJ1通算100ゴール達成後、約1万5000袋の「前田のクラッカー」が、ホーム試合で観客に配られる。

 Jクラブでは選手が記録を達成した場合、Tシャツやタオルなどを記念グッズとして限定販売するケースが多い。しかし、磐田の広報部は「ほかと違うことをやってみたかった」と、前田の100得点記念グッズに、単に「名字が同じ」という理由だけで、「前田のクラッカー」の前田バージョンを発案した。

 発売元の前田製菓は前田のスポンサーでも、クラブの協賛企業でもない。本社も大阪で磐田とは縁もゆかりもない。だが、さすがに“ダジャレ”で一世を風靡(ふうび)した会社だけあって、理解があった。磐田側が同社に打診したところ「面白いですね」と前向きな返答を受け、企画が一気に進展した。クラブ関係者は「話に乗っていただいた前田製菓さんに感謝したい」と話した。

 同商品が大流行した当時、前田はまだ生まれていなかったが、同じ名前ということでは、なじみがあった。「小さいころ(あたり前田のクラッカーと)言われた気がする。言われて嫌というのはない」と話す。普段は寡黙なエースも、今回の企画には「いいですね。ファンに喜んでもらえたら」と乗り気だったという。

 今夏のW杯代表メンバー入りは逃したが、新生日本代表には約1年ぶりに復帰。来年1月のアジア杯代表メンバー入りも有力視されている。リーグ残り7試合で13得点。得点ランク3位タイで、J史上初の2年連続得点王の可能性も十分ある。まずは通算100ゴールで特製クラッカーをファンに振る舞う。