<J1:仙台2-0神戸>◇最終節◇3日◇ユアスタ

 特別な1年のホーム最終戦を、美しく締めた。仙台が神戸に快勝し、横浜が鹿島と引き分けたため、過去最高となるリーグ4位に食い込んだ。震災による影響を最も受けたクラブとして、被災地の「希望の光」となるべく奮闘した今季。手倉森誠監督(44)のもと、ACL(アジアチャンピオンズリーグ)出場という大目標にも希望をつないでリーグ戦を終えた。

 希望の光になる-。この1年、さまざまな思いを背負って戦ってきた仙台は最後までたくましかった。まずはエース赤嶺が4戦不発というチームの呪縛を解いた。前半19分に頭で先制弾、後半35分にはMF松下のミドルシュートにジャンプしながら左足で軌道を変え流し込むアクロバティックゴール。リーグ最少失点の堅守も最後まで崩れず、手倉森監督は「いい締め方ができた。44歳、4位です(笑い)」と胸を張り、すでに決定的となっていた来季の続投も明言した。

 3月11日からすべてが始まった1年。手倉森監督は「あっという間だった」と話したことがある。それだけ、必死に駆け抜けて来た。震災後、しばらく千葉に練習拠点を移した時のこと。日々、神経をすり減らす監督生活でも寝つけなかったことはないという同監督が「怖くて寝られなかった」と振り返るほど、ショックは大きかった。

 それでもリーグ戦では快進撃。支えとなったのは、昨季の苦い経験だった。チームは一時、14戦勝ちなしとどん底。意気消沈し、静まり返ったある日のミーティングで手倉森監督は残りの対戦カードと予想スコア、勝ち点を片っ端からホワイトボードに書き込んで断言した。「こうやって勝ち点を取って残留だ」。逆境を乗り切る“皮算用”。指揮官には、したたかさがあった。

 大一番に強い自負もある。「負けたらやめるつもりだった」という昨年9月19日の山形戦。3連敗中だったみちのくダービーを制した。だから「オレはここという試合で負けたことはない」と言い切れる。4位浮上のためには勝つしかない一戦にも、プレッシャーはなかった。

 「希望の光」を目指し続けたシーズン。歓喜に沸くユアスタの中心にいる仙台イレブンは間違いなく輝いていた。それでも、まだ道半ば。残る天皇杯、その先の来季。高みを目指し、仙台を照らし続けるべく、チームは止まらない。【亀山泰宏】

 ◆ACLへの道

 日本は4枠で、リーグ戦上位3チームと天皇杯優勝チームが出場権を獲得。リーグ4位の仙台は、天皇杯で優勝する必要がある。ただ途中敗退しても、リーグ戦優勝の柏、同2位の名古屋が優勝した場合(G大阪はすでに敗退)、仙台に出場権が与えられる。