<J1昇格プレーオフ:大分1-0千葉>◇決勝◇23日◇国立
J2で6位だった大分が念願のJ1復帰を果たした。途中出場のFW林丈統(32)が後半41分、同5位の古巣千葉から決勝弾を挙げ、4季ぶり昇格を決めた。林は京都時代の09年に大分をJ2に降格させるゴールを決め、今度は再びJ1に昇格させる1発を大舞台で放った。09年に経営難からクラブ消滅危機に陥った大分は、地元の支援で借金を完済し、今季新設された昇格プレーオフ(PO=3~6位が出場)に出場。出場中最下位6位から、ドラマチックな勝ち上がりとなった。
大分の執念に女神がほほ笑んだ。0-0の後半41分だ。「千葉とは背負っているものが違う」。FW森島が前線に縦パス。これをDFの背後に飛び出したFW林が、GKをかわすループシュートを放つ。引き分けならリーグ戦上位の千葉が昇格するPOで、最後に背番号29が“昇格弾”を決めた。サポーター席へ猛ダッシュし「上げることしか考えてなかった。サポーターに感謝したい」と喜んだ。
林は京都時代の09年10月24日、大分の降格が決まった京都-大分戦(西京極)で、同点ゴールを挙げている。今回は立場が変わって準決勝で京都を、決勝で千葉と立て続けに古巣を撃破。「複雑でどう喜んでいいか分からない」と言うが「今度はJ1に上げられて良かった」が本音だ。今夏に途中入団した32歳の苦労人は最高の結果を出した。
歓喜の輪は広がった。田坂監督、J2降格の屈辱を味わった当時主将のFW高松、森島、チェ・ジョンハン、現主将のMF宮沢らも熱く抱き合った。青野浩志社長(56)も胴上げで3度宙を舞った。森島は「降格した時は(一部から)死ねと言われたが、変わらなくちゃ、と思った」。男泣きした高松は「自分たちでJ2に落とした。上がれてホッとしている」と言った。
09年に収入減や無理な補強で経営が悪化。資金繰りから経営破綻の危機に陥ったが、Jリーグからの6億円緊急融資でしのいだ。9億円超の実質債務超過からコストカットを強いられ、GK西川、MF清武ら主力の大量放出で弱体化。08年のリーグ4位、ナビスコ杯優勝の実績から暗転した。
今年は大分県民の寄付や地元経済界の支援を受け、10月にJリーグに未返済だった残り3億円を返済。それでもいまだ膨らんだ債務超過は9億円以上残る。青野社長は「3年間の大分県全体の(クラブを)立て直そうという苦労に対し、神様がよく頑張ったと最後に林の1点をくれたんでしょう。まだ債務超過があり無理はできないが、残留を目指したい」と言った。
15年シーズンまでに赤字体質、債務超過を解消しなければJリーグのクラブライセンスを失う。試合後の選手は「感謝」と書かれたTシャツを着てドラマのような昇格劇を喜んだ。【菊川光一】



