<J2:札幌1-1大分>◇第22節◇20日◇札幌ド

 デビュー戦ドローも魅せた!

 J2札幌の元日本代表MF小野伸二(34)が、12年7月28日の横浜戦以来、722日ぶりにJ復帰を果たした。左MFで先発し、柔らかい縦パスやスルーパスでチャンスをつくるなど、天才的な攻撃センスを随所に披露した。交代後の後半45分に追いつかれ、3度目のJ復帰戦を飾ることはできなかったが、連係面は上々。後半戦に向け、攻撃の進化を感じさせる一戦となった。

 小野の卓越した技術を示すには十分な76分間だった。まずは前半2分、左サイドから、ゴール前に飛び込んだFW内村に浮き球パス。ぎりぎりで内村の頭には届かなかったが、いきなりチャンスをつくり、今季最多2万633人の大観衆を沸かせた。「久々の公式戦で鳥肌が立ったし興奮した」。W杯3大会、UEFA杯を制した経験もある34歳も札幌でのデビュー戦は、新人選手のようにフレッシュな気持ちで楽しんだ。

 「いい距離感のときはいい動きができていた。ただ自分のシュートミスでゴールを奪えなかった。勝ち点3を取れなかったのが悔しい」。後半9分、荒野とのパス交換から放った左足シュートは、わずかに左に外れた。パスでリズムをつくるだけでなく、シュートもチーム最多4本放った。J2は00年11月19日の鳥栖戦以来4991日ぶりだったが、速いプレスや攻守の切り替えに動じることなく、攻撃にテンポをつけた。

 本番前はピッチ外でも体を張った。大分戦の2日前、急きょ映画のPR撮影のオファーが入った。チームは原則、試合2日前以降の取材を断っているが、緊急の依頼とあり「クラブのためになることなら引き受けさせてもらいます」と二つ返事で応じた。屋内での5分間の写真撮影という予定が当日、30度を超える炎天下での1時間の動画撮影に変わった。選手として大事な休息となる昼寝時間をつぶしたが、それでも楽しみながらすべてをこなした。

 前日練習直前にもテレビに生出演。そんな多忙なスケジュールをこなしながら、ピッチではチーム合流後、練習試合を含めて最長となる76分間に出場し、攻撃の軸となった。途中交代も「まだ、やれたとは思っている」と余力があったことをアピール。パスだけでなく、ボールを奪いカウンターの起点にもなった。どんな状況でもスイッチを入れられる44番の融合で、札幌が後半戦からの巻き返しを図る。【永野高輔】<小野

 過去所属クラブでのリーグデビュー戦>

 ◆浦和

 98年3月21日、Jリーグ第1ステージ開幕市原戦に先発フル出場し、3-2の勝利に貢献。

 ◆オランダ・フェイエノールト

 01年8月19日の開幕スパルタ戦に後半35分から途中出場し、同43分に4点目の起点、同ロスタイムに5点目をアシストし、5-0と大勝。

 ◆ドイツ・ボーフム

 07年2月4日のブレーメン戦に後半22分から途中出場。0-1の同23分に同点アシスト、同39分に左CKから逆転ゴールをお膳立てし、2-1で勝利。

 ◆清水

 10年3月6日のJ1開幕広島戦に先発フル出場。シュート3本放つも、試合は1-1ドローに終わる。

 ◆オーストラリア・ウエスタンシドニー

 12年10月6日、セントラルコースト戦に後半14分から途中出場。シュートを放つも決定機はつくれず0-0のドローだった。