<天皇杯:千葉2-3山形>◇準決勝◇26日◇ヤンマー

 山形は二転三転の激戦を制し、東北勢として1933年(昭8)準優勝の仙台サッカークラブ以来81年ぶり(73大会ぶり)のファイナル進出を決めた。2度同点にされたが、後半26分、右ウイングバック山田拓巳(25)が決勝ゴールを決め、千葉とのJ2対決を制した。全国初制覇をかけた決勝(12月13日午後2時~、日産スタジアム)では、今季3冠を狙うG大阪(J1)と対戦する。

 山形が再度チーム史を塗り替え、初タイトルに王手をかけた。今季16年ぶりにチーム復帰した石崎信弘監督(46)の新体制下で、春のキャンプから取り組んできた全員守備、全員攻撃を実践。前線からのハイプレスを徹底させ、試合開始から積極的に相手ゴールに迫った。

 2度、同点に追いつかれたが、主導権は渡さなかった。2-2の後半26分、中央ドリブル突破のFW川西のスルーパスを右ウイングバック山田が右足で合わせ、決勝ゴールを決めた。川西は「ヤマがいい形で上がってきてくれた」と感謝。ゴール前に飛び込んだ山田は「トラップミスしたけど、何も考えずに打つことができた」と会心のゴールを振り返った。

 天皇杯を知り尽くしたGK山岸、DF石川、FW山崎主将のベテラン3人もチームをけん引した。開始2分、G大阪在籍時の09年、天皇杯連覇の実績を持つ山崎のゴールで先制。1-1の同33分には、鹿島で02年に準優勝経験のある石川が、右CKでボムヨンの勝ち越しヘッドを演出した。浦和で06年連覇を経験している山岸も、決定的場面を何度もしのいだ。

 東京Vに1-2で敗れたJ2最終節(23日)から中2日。最終戦から先発6人を入れ替えた千葉に対し、石崎監督は現時点のベストメンバーで勝負をかけた。リーグ戦の締めくくりこそ白星で飾れなかったが、選手たちは「今あるのはシーズンの積み重ねの結果」と前向きに捉え、今年の出来事をまとめたビデオを見て、モチベーションを高めた。

 相手を上回る約700人のサポーターの前で、決勝進出を決めた。30日には磐田とのJ1昇格プレーオフ準決勝も控える。山崎は「次に進める。ホームみたいに戦えた。自分たちはチャレンジャー。アグレッシブに戦いたい」とさらに高みに挑む。【佐々木雄高】