G大阪が神戸を返り討ちにして3冠を実現する。天皇杯決勝進出から一夜明けた27日、万博練習場で明日29日のリーグ神戸戦へ調整を開始した。MF今野泰幸(31)は、低迷する神戸が打倒上位へ全力で立ち向かってくると想定。“返り討ち”を誓い、残り2戦での逆転優勝を目指す。ホーム最終戦で既に前売りは完売しており、今季最多約2万人の声援を受けて浦和を追い抜く。

 天皇杯王手から一夜明けたG大阪は、東京から帰阪して万博練習場で非公開練習を行った。気持ちはリーグ戦へ切り替えた。8日間で3試合目となる神戸戦へ、DF登録ながらボランチに定着する今野が表情を引き締めた。

 現在10位の神戸とは今季公式戦3勝1分けと相性はいい。だが今野は「(神戸はG大阪に)勝つと話題にもなる。同じ関西で、優勝を阻止したいだろうし」と分析。挑戦者の立場で上位に立ち向かう、その必死さを警戒した。

 神戸と同じ立場は過去に経験していた。05年東京時代、10位で迎えた最終節C大阪戦で、今野が後半終了間際に首位C大阪の初優勝を阻む同点ゴールを決めていた。偶然にも2位だったG大阪の逆転初優勝に貢献していた形だ。

 当時、C大阪に向かっていった心境を「完全に悪役になろうと思っていた。それ(優勝阻止)しかモチベーションがなかった」と振り返る。かつての自身と神戸の立場を重ね合わせれば、油断などあるはずがない。一方で3冠を目指す立場となり「目の前のチャンスを全力でつかみ取りたい」と、神戸を“返り討ち”にするつもりだ。

 長谷川健太監督(49)は「攻守の切り替え(が大切)。神戸はボールを取ってから早く攻めてくる。疲れもあるタイトな日程の中で、その部分をしっかりやれるかどうかが重要になる」と指摘。移動も含めた中2日で、疲労による影響は否めない。だがMF遠藤保仁(34)は「勝ち続けながらなので、モチベーションが相手とは違う。そういう形で迎えられるのはありがたい」と歓迎する。

 神戸に勝てば、首位浦和の結果次第で今季初めて首位に立ち、9年ぶり2度目の優勝に王手をかける可能性もある。最高の形で強行軍を乗り越えてきたG大阪が、00年度鹿島以来の3冠実現に向かう。【鈴木絢子】