<J1:C大阪1-4鹿島>◇第33節◇29日◇ヤンマー

 3位鹿島が、5年ぶり8度目の優勝へ望みをつないだ。最大勝ち点差「11」をひっくり返した「奇跡の逆転V」の07年と同じ、残り2戦を首位と4差で迎えた一戦。負ければJ2降格と背水のC大阪を一蹴し、引導を渡した。

 前半33分の先制で波に乗った。FW赤崎秀平(23)の右クロスをフリーで受けたMFカイオ(20)が右足でゴール右に突き刺した。後半14分にはカイオの浮き球パスを赤崎が「人生2度目」のヘッドで沈め、その8分後にはDFの裏へ抜けて、右足でプロ初の1試合2発を達成した。高卒新人の20歳カイオが1得点1アシスト、大卒ルーキーの23歳赤崎が2得点1アシスト。22歳のMF柴崎が4点目でダメを押した。

 今季の世代交代を象徴する勝利だが、若くても落ち着き払っている。ロッカールームで「まだ(可能性は)ある」と浦和の結果を告げられても、盛り上がらなかった。16冠王者だから優勝争いに慣れている。21歳のDF昌子は「僕らは初めてだけど重圧は全くない。佳境でも負傷を恐れず、みんなバチバチ定位置争いする。これを1年間、変わることなく続けられるのが伝統であり強み」。世代交代でベンチ外が続く35歳のDF中田が、練習では誰よりも声を出す。同期のMF小笠原主将は「試合は成長の場じゃない。快勝?

 もっと良くなる」と締める。ベテランから若手へ勝者のDNAが受け継がれている。

 首位G大阪と2差の最終節はホームに4位鳥栖を迎え撃つ。22歳のMF土居は「うちらは勝つ以外ない。(優勝は)勝って初めて考えたい」。7年前を知らない若手が無心でいられる。鹿島の強さだ。【木下淳】