<欧州CL:(3)インテル0-1バルセロナ(2)>◇28日(日本時間29日)◇決勝トーナメント準決勝第2戦◇バルセロナ

 ※カッコ内は2戦合計得点

 ジョゼ・モウリーニョ監督(47)率いるインテルが、アウェーでバルセロナに敗れながら、2戦合計で決勝進出を決めた。前半28分にMFモッタの退場処分で10人となったが、徹底して守備を固めてバルサの猛攻を1点に抑えた。10年前までバルサの通訳を務めた同監督は、これまでの「偏見」を吹っ飛ばした。インテルにとっては、欧州チャンピオンズ杯時代の71-72年シーズン以来、38年ぶりの決勝進出。45年ぶりの欧州一をかけ、22日にスペイン・マドリードでバイエルンと対戦する。(春日洋平、波平千種、山本孔一通信員)

 ファイナルホイッスルが鳴り響いた瞬間、モウリーニョ監督は古巣のピッチを駆け抜け、何度もガッツポーズを繰り返した。あと1点を奪われれば敗退の瀬戸際。苦しんだ分だけ、歓喜に酔いしれた。

 モウリーニョ監督

 私の人生で最もすばらしい敗戦だった。インテルは勇敢で完ぺきで、血を流すほど努力した。バルセロナで英雄として記憶に残るだろう。

 前半28分にMFモッタが退場となり、残り60分以上を10人で戦った。ゴール前を固め、メッシがボールを持てば絶えず複数で取り囲んだ。FWエトーも、司令塔のMFスナイデルも守備に走った。シュートは相手15本に対し、わずか1本。守備一辺倒ながら、初戦3-1の「貯金」を生かして逃げ切った。

 モウリーニョ監督にとって、バルセロナは乗り越えるべき壁だった。96~00年にかけ、バルセロナで故ボビー・ロブソン、ファンハール監督の通訳として働いていた。指導者として一流となった今でも、バルセロナでは「しょせんは通訳」扱いだった。当時選手だったバルセロナのグアルディオラ監督も、前日会見で「ここまでなるとは想像できなかった」と率直な感想を明かした。

 前夜はバルササポーターから安眠妨害を受け、出動要請した警察官が到着したのは連絡から4時間半後だった。そんな完全アウェーの中で王者を止めた。モウリーニョ監督は「私が将来バルサの監督になることはなくなった」と笑わせた。

 [2010年4月30日8時58分

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