国際陸連のセバスチャン・コー会長(英国)は2日、ロシアの組織的なドーピング問題で、英議会の文化・メディア・スポーツ特別委員会による公聴会に出席し、組織運営やシステムの欠陥を認めた上で「不正を一掃しなければ陸上競技に明日はない。これは存続の分岐点だ」と訴えた。

 8月に就任したコー会長に対する質疑は約3時間に及んだ。ロシア側からドーピングに絡んだ証拠隠滅で賄賂をもらった疑いでディアク前会長(セネガル)が捜査されている問題では強く関与を否定。今後の薬物対策として「年間400万ドル(約4億9000万円)を投じてきたが、必要ならば予算を倍増する」と述べた。2007年からの副会長時代の責任も追及されたが「当時は年間10日間の非常勤。反ドーピングの組織とは完全に分離していた」と釈明した。

 21年世界選手権の開催地が通常の手続きを経ることなく米オレゴン州ユージンに決定した問題でも、オレゴン州に本社を置く米スポーツ用品最大手ナイキの顧問だったことが「利益相反に当たる」と厳しく説明を求められた。先に辞任したナイキの顧問として「賄賂を受けたり、便宜を図ったりしたことはない」と主張したが、疑惑解消までには至らなかった。