パラ陸上の“鉄人”が自信をのぞかせた。

 円盤投げの04年アテネ・パラリンピック銀メダリスト大井利江(67=北海道・東北身障陸協)が6メートル27で優勝した。

 自身が持つ日本記録の6メートル60には届かなかったが、2位の橘信宏に1メートル以上の大差をつけての勝利。大井は「この時期にこの記録なら満足。筋トレの効果が出ている証拠だ」と笑みを見せた。

 地元の岩手県洋野町は、まだ気温が低いため、投てきは控え、筋力トレ中心のトレーニングに励んでいる。毎日、自宅玄関前で40キロのバーベルを100回押し上げる練習を繰り返しているという。

 50歳で円盤投げに出会い、アテネ大会で銀、北京大会で銅を獲得。26メートル62の世界記録も持ち、周りから「鉄人」と呼ばれている。しかし、2年前にリオ大会では円盤投げのF53クラスの出場枠がないことを知り、砲丸投げに挑戦することを決意した。利き手の右手がまひしているため、左手で投てきし、昨年10月の世界選手権では6位入賞した。「年齢は関係なく、記録はまだまだ伸びる。日本は投てきが弱いため、活躍して人気を高めたい。まずは7メートルが目標だ」。パラ陸上の“鉄人”が進化を続ける。