男子200メートルで飯塚翔太(25=ミズノ)が、日本歴代2位の20秒11で優勝して2大会連続五輪を決めた。追い風1・8メートルの決勝で前半から飛び出し独走ゴール。3年ぶりに自己記録を0秒10更新し、3年ぶり2度目V。同時に派遣設定記録(20秒28)もクリアして内定した。今大会での内定者は21種目19人。きょう27日に、リオデジャネイロ五輪に出場する男女代表メンバーが発表される。

 視界の中にライバルはいない。飯塚は、コーナーを抜けると独走状態に入った。ラスト20メートルはゴール横のタイマーを見て走った。「いいタイム、出てくれ!」。日本歴代2位、今季世界ランク10位タイの20秒11。自己記録で20秒12の藤光、20秒14の高瀬を一気に抜いた。「決勝の舞台で自己記録が出て自信になる。昨年、2人に抜かれて悔しかった。上に行こうと決めていた。やっぱり1番っていいっすね」。激戦区200メートルで大勝利だ。

 昨年の日本選手権は決勝で足を負傷して途中棄権。同年8月の世界選手権北京大会に出られなかった。悔しさもあって「家では(世界選手権の)テレビを見ないことにしていた」。地元静岡で療養中に実家近くの温泉に行った。その時ちょうど200メートル準決勝が放送された。サニブラウンの大健闘、ボルトと同組で敗れた藤光、高瀬。隣にいた中年男性と「おー」と盛り上がり「あー」と残念がった。そして思った。「あそこで走ったら気持ちいいだろうな。どうしてオレは主役になれないのか」。

 けがの反省から体重を84キロから4キロ減量。今季は「また絞っちゃいました」が口癖。練習も力みで悪いフォームになったら即座に打ち切り。いいフォームだけ体にしみ込ませた。復活を果たして最高の形でリオ切符獲得。「ロンドン五輪は自分がそこにいることが信じられなかった。今回は勝負」。期待の大型スプリンターが、2度目の五輪に向けて出陣する。【益田一弘】

 ◆飯塚翔太(いいづか・しょうた)1991年(平3)6月25日、静岡県御前崎市生まれ。藤枝明誠高-中大。10年7月の世界ジュニア選手権200メートルで、アジア人として初制覇。12年ロンドン五輪は200メートルで予選敗退も、400メートルリレーはアンカーとして5位入賞。185センチ、77キロ。