<陸上:日本グランプリシリーズ第4戦・静岡国際兼世界選手権代表選考会>◇3日◇静岡スタジアム(エコパ)

 「桐生効果」で好記録が出た!

 男子200メートルで飯塚翔太(21=中大)が20秒21の日本歴代3位となる今季世界最高タイムで優勝。世界選手権モスクワ大会の派遣設定記録(20秒29)を突破した。4日前の織田記念では、男子100メートルで10秒01の世界ジュニアタイを出した桐生祥秀(17=洛南高3年)と同走し、撃沈。その悔しさを晴らした。橋元晃志(早大)も20秒35で、参加標準記録A(20秒52)を突破。短距離界に桐生効果が吹き荒れる。飯塚は5日のセイコーゴールデングランプリに出場する。

 70メートルを過ぎてスムーズなコーナリング。この時点で飯塚は、好タイムを直感した。「直線に楽に入れたし後半も余裕があった。A標準は行けるな、と」。うれしい誤算はA標準を超え、6月の日本選手権で決勝を走ればモスクワ行きが決まる好記録だ。

 日本陸連の伊東浩司短距離部長も「桐生君の10秒01もすごいけど、20秒21もファイナルが見える記録。いよいよ元祖が大輪の花を咲かせますね」と、10年世界ジュニア覇者を絶賛。昨年ロンドン五輪7位相当の好タイムに飯塚も「不安もあった中で出せた記録。1つ殻を破れたと思います」と興奮しきりだ。

 超スーパー高校生が出現した織田記念。飯塚も10秒25の自己ベストを出しながら途中で置いて行かれた。「インパクトがでかくて悔しかった」という気持ちを「でも200で負けていられない」と言い聞かせて臨んだレース。185センチのダイナミックな走りでショックを乗り越えた。

 記録はまだ伸びる。20秒03の日本記録の先に見えるのは-。100メートルの9秒台か、200メートルの19秒台か「先に出されたくない。早い者勝ちです」。広島で味わった屈辱を、違う形で晴らしてみせる。【渡辺佳彦】

 ◆飯塚翔太(いいづか・しょうた)1991年(平3)6月25日、静岡県御前崎市生まれ。藤枝明誠高-中大。10年7月の世界ジュニア選手権200メートルで、アジア人として初制覇。昨年のロンドン五輪は200メートルで予選敗退も、400メートルリレーはアンカーとして5位入賞。185センチ、77キロ。