「ハイパー寄せ鍋軍団」が今年度こそ、笑顔でタスキを大手町に運ぶ。箱根駅伝(来年1月2、3日)で20大会ぶりの優勝を目指す山梨学院大が11日、甲府市内で練習を公開。今年1月の前回大会は2区のエノック・オムワンバ(3年)が、よもやの故障で途中棄権。途切れたタスキを、名将・上田誠仁監督(55)が命名した軍団が、一致団結してフィニッシュまで運ぶ。

 底冷えする朝の甲府。ポイント練習で体から湯気を出す選手を凝視しながら、上田監督は言った。年度ごとにチームを鍋に例える、恒例の愛称披露だ。

 上田監督

 今年は鍋の器全体の土台が、しっかり出来ている。「ハイパー寄せ鍋」です。火力も十分。お湯を張っただけでだしが出る。たぎらす物は3年越しの思いです。今年こそは笑顔でタスキを迎えたい。

 2大会前は、10位までのシード権を目の前で逃す11位。そして出直しを期した前回。オムワンバが右脚腓骨(ひこつ)を疲労骨折しタスキは途絶えた。失意にくれた今年1月3日の大手町。上田監督は「1年後の未来を明るく変えよう」と訴えた。主将に決まった井上がテーマを掲げる。「リスタート

 プルシアンブルーの復活」。

 絶対エースのエノックを支えよう-。その井上が言う。「『エノックだったらやってくれるだろう』という1人1人の気持ちが、エノックの見えないプレッシャーになった」。各自が自分にできる走りをしよう。率先した井上は長距離3種目で、山梨学院大日本人最高記録を今季マークした。「悔しかったけど、もう大丈夫。2区で区間賞を取りたい」とオムワンバ。涙でぬれたタスキを、今度こそ大手町に笑顔で迎える。【渡辺佳彦】

 ◆近年の上田監督によるチーム愛称

 10年度は「ウチは寄せ鍋。みんなそろって味が出る」とチーム団結の必要性を訴えて12位。12年度も寄せ鍋に例え「高級な具材はなくても、おいしい味を出したい」としたが11位。昨年度は豆乳鍋に例え「単体の素材じゃ勝負できないが、寄せ鍋ほどあっさりでなく、程よくこってりしている」と説明した。