<全国高校総体:陸上>◇3日◇大分銀行ドーム◇女子1600メートルリレー

 浜松市立(静岡)が連覇を飾った。3分37秒99と高校記録に0秒13と迫る快走で、2位に4秒以上の差をつけた。第1走者の大竹佑奈(1年)がトップに立つと、昨年Vメンバーの松本奈菜子(2年)建部カオリ、杉浦はる香(ともに3年)とバトンをつなぎ後続をさらに引き離した。圧倒的な走りで今大会初の金メダルを獲得し、同校としては07年男子に続く総合優勝も飾った。

 浜松市立は高校記録まであとわずかだった。09年に東大阪大敬愛が樹立した3分37秒86に0秒13と迫った。エースでアンカーの杉浦は「私があとちょっと頑張れば届いたのに。必死だったのでタイムを見るひまがなかった」と悔しがった。昨年の優勝メンバー3人を含む最強チームは、最終日に強さを見せつけた。

 昨年は2位に3秒以上の差をつけたが、今年は4秒25差。1走の大竹がトップに立つと、2走の松本はその順位をキープ。3走の建部はさらに差を広げてアンカー杉浦につなぐ。400メートルの高校記録保持者は、右ひざ痛をものともせずに独走態勢に入った。杉浦がゴールすると4人は抱き合って喜んだ。そして、ハイタッチで健闘をたたえ合った。

 この勝利が、浜松市立として今大会初の金メダルだった。同校としては6年ぶり、女子としては初の総合優勝も決定した。杉浦が200メートルで銅メダル、400メートルで銀メダル、400メートルリレーで銀メダル、松島美羽留(3年)が走り高跳びで銀メダル。金メダルがなかっただけにようやく最終日に3色がそろった。

 杉井将彦監督は「建部たちが入学したときから総合優勝を思い描いていた」と振り返った。男子は07年に創部3年目で早々に総合優勝。伝統ある女子としては何としても欲しいタイトルだった。建部は「自分たちの入学前から先輩たちは総合優勝の目標を掲げていた。その夢を目標を達成できてうれしい。先輩たちに恩返しできたのでは」。杉浦は「総合優勝を目標に今大会は頑張ってきた」と胸を張った。

 同じ1600メートルリレーで3位に入った男子を見かけると、杉浦の目に涙があふれ出た。「すごく応援してくれていたので…」。互いにしのぎ合い、支え合い、つかんだ総合Vだった。【豊本亘】