<F1:モナコGP>◇決勝◇25日◇モンテカルロ市街地コース(1周3・340キロ)

 ウィリアムズの中嶋一貴(かずき=23)が7位に入り、伝統のモナコGPで日本人ドライバー初入賞を果たした。序盤から雨が降る難コンディションの中、トラブルを回避して我慢の走行を展開。レース中盤すぎには一時、最速ラップを記録する快走で、日本人のモナコ最高位(中野信治、9位)を更新した。ルイス・ハミルトン(マクラーレン)が優勝し、開幕オーストラリアGP以来の今季2勝目を挙げた。

 中嶋がまた1つ、日本のモータースポーツ史に1ページをしるした。狭く、曲がりくねったF1最難関コースに、降り続く雨。数々の難条件を克服し、7位でチェッカーを受けた。インディ500、ルマン24時間と並ぶ「世界3大レース」のモナコGPに、日本人初入賞。父悟氏が苦しめられ、佐藤琢磨がのみ込まれたモナコの魔物を攻略し、「日本人初、というのが1つできたのはうれしいですね」と、笑顔を見せた。

 我慢を重ねる中嶋に、気まぐれな天気が味方した。序盤は雨でクラッシュやコースアウトが続出。中嶋は軽い接触こそあったものの、大きなトラブルなく乗り切った。レース前、「苦手。タイムが伸びない」と悩んでいたコース中盤の低速コーナーにも適応。路面が乾き始めた54周目は、1分24秒745の一時最速ラップまでマークした。

 「ウィリアムズ代表からは『ミスもなくいいレースをしたね』と褒めてもらえました」。その代表にとって、これがF1通算600戦目。同僚ロズベルグがリタイアする中、中嶋が恩師の記念の一戦に花を添えた。