世界5位の錦織圭(25=日清食品)が赤土で2連覇に王手をかけた。昨年全仏初戦でストレートで敗れた同28位のクリザン(スロバキア)に6-1、6-2のストレートで雪辱に成功。過去第1シードで出場したツアー4大会すべてで決勝進出を決めていた勝負強さは、この日も生きていた。この勝利で27日発表の最新世界ランキングで5位キープが決まった。26日の決勝は、世界66位のアンドゥハール(スペイン)と対戦する。

 第1シードの強さは健在だった。ケガ明けだったとはいえ、昨年全仏1回戦ではクリザンに粉砕された。その相手にストレート勝ちで雪辱し、2連覇に王手。「また決勝に残れて興奮している」と、勝利の瞬間、久々に笑顔で右手を突き上げた。

 スタートの3ゲームで、相手の戦闘意欲を封印した。クリザンは、豪快なフォアが最大の武器。馬車馬のように走り回り、バックの球もフォアに回り込む。全仏では、そのパワーにやられた。しかし、この日は、サーブのコース、ラリーの大半で徹底してバックを攻め、相手のリズムを破壊した。

 一気に5-0とリードし、主導権を握ると、そのまま最後まで錦織のペース。合計3ゲームしか失わず、難敵クリザンをまんまと術中にはめることに成功。「全ての面でパーフェクトなテニスができた。とてもうれしい」と胸を張った。

 これで第1シードで出場した大会は20勝1敗と、圧倒的な強さを誇る。14年全米室内から、今年のメキシコオープン決勝まで16連勝。その決勝で、フェレールに敗れただけで、再び、今大会で勝ち星を積み重ねた。2連覇まで残り1勝。60年以上の歴史を誇る伝統の大会で、2連覇以上はわずか9人だけだ。

 この1勝で、世界ランクの5位キープも決まった。今大会、早期敗退だと、8位まで転落するピンチもあった。昨年優勝ということは、今年も優勝しなければ大会直前の世界ランクの合計点は維持できない。しかし、その重圧など、今の錦織にはまったく関係がなかった。

 昨年、この大会で優勝して後半の快進撃につなげた。大会前に「最高の準備をしてきた。優勝できる可能性はある」と、胸を張った自信は、決して揺らぐことはない。今年も、昨年の快進撃の再現に王手をかけた。

<錦織の第1シード出場大会全成績>

 ◆14年2月 全米室内 優勝(16)

 ◆14年9月 マレーシア・オープン 優勝(7)

 ◆15年2月 メンフィス・オープン 優勝(5)

 ◆15年2月 メキシコ・オープン 準優勝(5)

 ◆15年4月 バルセロナ・オープン ??(5)

※( )内は当時の世界ランク