史上7人目の女子の3回転半ジャンパーの誕生だ。SP2位の紀平梨花(14=関大KSFC)がトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)など8本の3回転ジャンプを成功させ、フリー首位の128・31点、合計194・24点で逆転優勝し、12月のジュニアGPファイナル(フランス・マルセイユ)初進出を決めた。昨季の世界ジュニア女王でSP4位の本田真凜(15=大阪・関大中)はフリー、合計ともに2位だった。

 紀平が最初のジャンプ、3回転半をふわっと降り立った。国際スケート連盟公認大会で伊藤みどり、浅田真央ら女子では6人しか成功していない大技を軽々と決めた。6種8本の3回転ジャンプを決めるのも女子では初めて。滑り終えるとガッツポーズし「こんなにうまくできると思っていなくてびっくり。すごいうれしい」と声を弾ませた。

 指導する浜田コーチが「体にバネがある。運動能力が高い」と認める才能は、幼少期に通った兵庫・西宮市の広田幼稚園で育まれた。当たり前のように跳び箱8段をとび、よく逆立ちで歩いていたという。「そこで体力がついたのかな。その幼稚園に行ってよかった」と話す。今でも「疲れるまで逆立ち歩きができる」。そのバランス感覚がジャンプに生きている。

 18年平昌五輪に出るためには、17年7月1日時点で満15歳という条件があり紀平は3週間届かない。06年トリノ五輪に年齢制限で出場できなかった浅田のように次の次22年北京五輪を目指すしかない。

 今の目標は「ミスなく、トリプルアクセルをたくさん決められる選手」になること。初出場を決めたジュニアGPファイナルでは「もっといい演技ができれば」。既に練習では3回転トーループとの連続ジャンプもこなしており、試合での成功も近そうだ。今年ジュニアデビューした天才少女の勢いは止まりそうにない。

 ◆紀平梨花(きひら・りか)2002年(平14)7月21日、兵庫県西宮市生まれ。姉の影響で5歳からフィギュアを始める。14年から浜田美栄コーチの指導を受け、15年全日本ノービス選手権で3回転5種7本を決め、優勝。同年全日本ジュニア選手権11位。50メートル走は7秒8。趣味は映画、音楽鑑賞。