羽生結弦(21=ANA)が、今季初戦のSPで4回転ループを決め、88・30点で首位発進した。同ジャンプの成功は国際スケート連盟(ISU)公認大会で初めて。左足甲治療のため滑れず安静状態だった4月に、宇野昌磨が史上初の4回転フリップに成功。焦りと悔しさを乗り越え、2連覇のかかる18年平昌(ピョンチャン)五輪へ新たな武器を手にした。

 羽生は3つ目の4回転ジャンプを手にした。技の幅は広がり、自身の持つ世界歴代最高得点更新へ期待も高まる。SPで昨季までのクラシックからプリンスの曲へと路線変更したのも、表現を磨くと同時に、選曲の判断基準にするためだ。五輪連覇への準備は、もう始まっている。

 指導するオーサー・コーチは「トーループは足先を突く助けがある。サルコーは右足をそのまま振り上げて跳ぶが、(右で踏み切る)ループはサルコーのように右足の勢いを使えない」と難しさを指摘。「完璧なテクニックが必要」(同コーチ)という大技は左足甲の負担を和らげる点でも意義深い。左足を突くトーループの回数を減らしても、残り2種類の4回転を駆使して得点を稼げる。

 その他のトップ選手も戦い方を模索する。宇野は基礎点の高い4回転フリップを武器にし、メダル候補に。4回転ループも近いうちに成功しそうだ。表現力も高く、合計300点超えは十分あり得る。現世界王者のフェルナンデスは4回転の種類は増やさず、GOE、スピードを上げていくと明言。高難度のルッツを含む3種類の4回転を持つ金博洋はアクセルを練習しているといううわさもある。4回転ジャンプを何種類何回跳ぶか、他の要素をどう磨くのか。五輪に向けた駆け引きも注目される。