スピードスケートの女子マススタートで高木美帆(22=日体大)が優勝し、1500、3000メートルに続く3冠に輝いた。1000メートルの銀を含め、出場全4種目でメダルを獲得した。3周目から高木美とともに逃げた佐藤綾乃(20)が2位、2人のサポート役に回った高木菜那(24)は4位に入った。スピードスケート全種目が終了し、日本は金7個を含む史上最多23個のメダルを獲得した。

 作戦がズバリとはまった。来年の平昌五輪から正式種目となるマススタート。2周目に高木姉妹の姉菜那が前に飛び出す陽動作戦で、2週前の世界距離別を制した金ボルム(韓国)らを混乱させた。3周目。妹美帆と佐藤がスパート。後続を突き放し、美帆が金、佐藤が銀メダルを奪った。

 世界距離別では妹美帆がラスト200メートルで転倒しながら、姉菜那の銀メダルをアシスト。この日は逆に姉がサポート役に回り、妹に金メダルをもたらした。美帆が「2人の力があっての金」と言えば、菜那も「いつも妹が自分を助けてくれる。今回は後押しできて良かった」と姉妹を含めたチームの絆を強調した。

 高木姉妹は会場のある帯広市東部に隣接する幕別町出身。連日満員で埋まった会場には両親を含め、多くの知り合いがいた。姉が金を含む2個、妹が金3個を含む4個のメダルを得た。父愛徳さんは「地元を盛り上げてくれて良かった」と、孝行姉妹をねぎらった。

 10年バンクーバー五輪は妹美帆が中学生で出場。14年ソチ五輪は妹が落選も姉菜那が初出場。来年の平昌五輪は姉妹で出場はもちろん、メダルラッシュが現実味を帯びている。【田口潤】