<レスリング:女子国別対抗戦W杯>◇27日◇東京・代々木第2体育館

 吉田沙保里(29=ALSOK)は、いつまでも泣き崩れていた。格下のロシア選手に、まさかの逆転負け。4年前に119連勝で止められたW杯で、再び悪夢に襲われた。その負けから続けてきた連勝は「58」で止まり「日本は優勝できて本当にうれしいが、個人的には決勝でああいう闘いをしてしまって、主将として情けない」とうなだれた。

 日本の4連勝で、優勝を決めた直後に登場した。第1ピリオド(P)は奪ったが、第2Pは攻め手を欠いた。最後に押し出しを狙ったが、間際でうっちゃられて失点。最終Pも、タックルを仕掛けながら腰が高く、再び体を入れ替えられて押し出された。

 相手のジョロボワは59キロ級を主戦場とし、W杯は階級より2キロオーバーまで許されるため、吉田との体重差が大きいことも影響した。だが、それ以上に、得意のタックルで迷いが目立つ。「返されるかもしれないと、ちゅうちょしてしまう。見えないブレーキがあった」。無敵だった女王が、深い悩みを抱え込んだ。