<ラグビー・トップリーグプレーオフ:パナソニック50-15東芝>◇準決勝◇25日◇東京・秩父宮ラグビー場

 リーグ2位の前回王者パナソニックが同3位の東芝に大勝し、決勝に進んだ。前半16分にWTB山田章仁(29)が約60メートルを走ってトライを奪うなど、リーグ戦で敗れた相手に前半だけで4トライ。序盤にたたみかけて鮮やかに雪辱した。連覇を目指し、2月1日に初優勝を狙うヤマハ発動機と東京・秩父宮ラグビー場で決勝を戦う。

 青き野武士軍団が、東芝の赤い壁を破った。開始1分で先制トライを奪い、10-3で迎えた16分。山田が約60メートルを激走した。自陣中央でSOバーンズの横に入ってパスを受け、守備ラインを破る。軽やかなステップで3人を抜き、タックルを振り切ってインゴールへ飛びこんだ。「サインプレーではない。バーンズの癖なんかも考えて、内側に入った」。集中を研ぎ澄まし、好機を逃さなかった。

 王者の意地があった。昨季は4度の対戦で全勝した相手に、今季は開幕戦、第2ステージと連敗した。打倒王者を掲げて挑んできた東芝の気合の前に、受け身に回った。同じ相手に3連敗は許されない。CTB霜村は「練習から、明らかにみんな表情が違った」と明かす。「始めの1秒から集中しようと周りが声をかけ合っていた」というフッカー堀江主将の言葉通り、リベンジへの思いが一気に噴き出た。前半だけで4トライ4ゴール。37-3とし、試合を決定づけた。

 力を引き出したのは主将だった。試合中「お互いの顔を見よう。やってきたことを確認しながらやろう」と声をかけ続けた。霜村は「水を飲みながらでも実際に見渡すと、ホラニとかでかい仲間がいて。こいつらがいれば大丈夫だと思えた」と堀江に感謝した。激しい中でもミスしない落ち着いたプレーは、強いキャプテンシーが生んでいた。

 連覇がかかる大一番に向け、堀江は「精いっぱい準備しつつ目の前の判断を大事にして、グラウンドで変えることも大切にしたい」と落ち着いた表情。王者に油断はない。【岡崎悠利】

 ◆日本選手権組み合わせ

 24、25日に行われたプレーオフ準決勝の結果を受け、出場4チームの対戦カードが決まった。決勝に進んだパナソニックとヤマハ発動機はシードに入り、敗れた神戸製鋼は慶大と、東芝は東海大とそれぞれ初戦を戦う。