ラグビーワールドカップ(W杯)日本大会組織委員会は23日、来場者による試合会場への食べ物の持ち込みを認めると発表した。開幕戦から売り切れが続出し、苦情が相次いだことを受けての変更。食べ物の持ち込み禁止は前回W杯と同様だったが、大会4日目で異例の方針転換となった。

組織委は、施設内の食品販売業者の権利を保護する観点から飲食物の持ち込みを制限していた。この日から1人で消費できる程度の食べ物の持ち込みが認められた。組織委担当者は「会場内外で飲食を楽しむのがラグビー文化と分かっていたが、想定外の展開となった。見込みが甘かった」と話した。11月2日の決勝までの全試合のチケット購入者に日本語と英語のメールで通知し、ツイッターなどのSNSでも周知する。

20日に日本対ロシアの開幕戦が行われた東京・味の素スタジアムや、21日にニュージーランド対南アフリカが開催された横浜市の日産スタジアムなどの売店で焼きそば、フランクフルト、唐揚げなどの食べ物の売り切れが相次いだ。再入場も禁止されているため食べ物を調達できず、観客から批判の声が続出。味スタでは混雑すると見込み、事前に売店8店舗から12店舗、無料給水所を1カ所から2カ所に増やすなど対策を立てていたが、予想を上回った。

飲み物については、テロ対策などの保安面の理由から原則持ち込み禁止を継続する。乳幼児や高齢者の水分補給などの理由で水やお茶を水筒に入れて持ち込むことは可能だが、ペットボトルのジュースや酒類の持ち込みは禁止。このことを会場で知って手荷物検査で持参した飲み物を捨てる来場者も多数いた。人気カードになると試合開始数時間前から多くのファンが入場する。ソフトドリンクが早々と売り切れ「飲み物が(大会スポンサーの)ハイネケンのビールしかない」などの声もあった。【峯岸佑樹】