元横綱朝青龍関(29=本名ドルゴルスレン・ダグワドルジ)に支払われる見込みの特別功労金が、予想より「減額」される可能性がでてきた。日本相撲協会は10日、臨時理事会を開いて元朝青龍関の特別功労金などについて協議する。過去最高は横綱貴乃花(現親方)の1億3000万円。優勝回数で3度上回る25度優勝の元朝青龍関は、通常ならそれ以上の額も予想されるが、一部理事からは疑問の声が上がり始めた。

 元朝青龍関への「退職金」が議論を呼びそうだ。通常、横綱の力士養老金1500万円と、勤続加算金(全休を除く場所数×50万円)で38場所分1900万円の計3400万円が支払われる。そのほかに理事会決議による特別功労金と合わせて「退職金」になる。

 その中で疑問視されているのが特別功労金。実績に合わせて、理事会が過去の例などから決議する。これまで最高は空前の相撲ブームを生んだ貴乃花の1億3000万円。元朝青龍関は優勝回数では貴乃花を上回る実績を残したため、通常なら上回る可能性がある。

 そこに一部理事から疑問視する声が上がり始めた。人気があって客を呼んだキャラクタ-で協会への貢献度は認められるが、土俵内外で問題を起こし、最後は泥酔暴行問題で責任をとって引退。「一般の感情として、貴乃花を超える額を支払うのはどうなのか」と、ある理事は「功労」について疑問を投げかけた。

 また、正規の養老金、加算金もすんなり満額とはいかない可能性もある。元朝青龍関が引退を決めた4日の理事会では、一部理事から「解雇処分」の声が出ていた。力士暴行死事件や大麻事件を経て、昨年2月、解雇の場合には理事会決議で減額できる規定に変更した。引退で処分こそ出なかったが、相撲界の体面を汚した「罪」は消えない。理事選挙を含む一連の騒動の中、協会は一般社会との常識のズレを批判されているだけに、問題視されるかもしれない。