<大相撲名古屋場所>◇9日目◇19日◇愛知県体育館

 野球賭博に関与しながら軽微だとして出場が認められたモンゴル出身の東幕下4枚目城ノ龍(26=境川)が、4勝1敗と勝ち越しを決め、秋場所(9月12日初日、両国国技館)の新十両昇進が有力となった。仲の国を珍手の「ずぶねり」で破った。今場所の十両は野球賭博に関与した4人の幕下陥落が有力。皮肉にも上申書で野球賭博を申告した力士が、野球賭博の影響で昇進しやすい恩恵にあずかる形となった。

 押し込まれた城ノ龍は、突然腰を落とした。仲の国の懐に潜り込むと、頭を支点にして一瞬抱え上げ、次の瞬間に相手をひねり倒していた。179センチ、115キロの小兵ならではの珍手のずぶねりで、47キロも重い相手を破り、自己最上位での勝ち越しを決めた。「先に動こうと思っていた。(ずぶねりは)自然と出た。何としてでも勝ちたい気持ちが強かった」と笑った。

 場所前に相撲協会への上申書で野球賭博への関与を申告した。申告した力士のうち十両以上は、特別調査委員会から謹慎を勧告された。

 だが城ノ龍は幕下だったため、同委員会の協議の末、出場が認められた。同部屋の幕内の豪栄道、豊響は謹慎中だけに「自分の子どものように接してくれた親方、おかみさんのために頑張りたい」と奮起。新十両昇進を有力とした。

 現在の十両のうち謹慎中の4人と、病気で全休となる兄弟子の岩木山は、来場所の幕下陥落が有力視されている上、すでに9敗している東十両13枚目の益荒海も陥落の可能性が高い。さらに元大関琴光喜関が解雇され、幕内の枠が1つ空くため1人繰り上がることで、計7人が幕下から十両に昇格することが予想される。幕下4枚目の城ノ龍も、当確ランプが点灯した。

 何度も相撲をやめようと思った。3年前にけいこ中に左ひざの靱帯(じんたい)を断裂。昨年5月には左目の網膜剝離(はくり)を患った。視力は0・05にまで急激に落ち、現在も左目だけコンタクトレンズを付けて相撲を取っている。

 「やめなくてよかった」。皮肉にも野球賭博の影響で十両昇進の間口が開いた。故障に続き野球賭博で再び後悔の思いを味わった、元モンゴル相撲高校横綱は、もう2度と後悔しないと心に誓っていた。【高田文太】