今季の広島の課題といえば、メジャー移籍を目指す鈴木誠也の穴をどう埋めるかに尽きるだろう。広島ファンにとっては絶望的に聞こえてしまうかもしれないが「埋まりそうもない」というのが正直な感想だった。

巨人との練習試合で「4番」を務めたのはルーキーの末包だった。体も大きく、ドラフト6位とは思えないスイングの強さがある。「どうしてこんな選手がドラフトの下位まで残っていたんだろう」と思ったほどだ。しかし、スタメン出場した左翼の守備は…。試合途中で一塁も守ったが、何でもないゴロをエラーしていた。ルーキーに対して、わずか1試合で守備の評価を下すのは忍びないが、使い続けるには相当な我慢が必要になる。

鈴木誠也の穴を埋められなくても、軽減させるとしたら小園を筆頭にした若手が長打力に磨きをかけるしかない。特に今キャンプを見ても、小園のバッティングは成長している。昨年はレギュラーをとるため、打率を求めるような打撃をしていたが、長打を打つ潜在能力は秘めている。

遊撃のレギュラーは確定しているだろう。それならば、もう少しカウントを考えて長打を打てる球を待つ意識を高めてほしい。第1打席は先頭で初球をセンター前ヒット。第3打席は2ボールからのファーストストライクをレフト前にはじき返した。積極的に打つのは持ち味で、得点圏に走者がいるときは今のスタイルでも構わない。ただし、練習試合やオープン戦では、じっくりと狙い球を絞り、引っ張って長打を狙えるような打撃を心掛けてほしい。もうワンランク上の打者を目指せる素質があると思っている。

広島は好打の左打者がたくさんいる。まだ1軍にはいないが、坂倉、西川らも、長打力の意識を高めてほしい。小園だけではなく、若い選手が多く、レベルアップは見込める。（日刊スポーツ評論家）