巨人は2試合続けて3回に満塁弾を許した。これでは野手のモチベーションは上がらない。この2日間、ベンチでの明るい材料はプロ初安打の中山と増田陸、この2人だけではないだろうか。それだけ、今の巨人打線は戦力的に苦しい。

スタメン、途中から出てくる若手や代打を見て、これは厳しいと率直に感じる。しかし、いないのだから仕方がない。いない戦力を考えている時間はない。現有戦力でこの状況をどう乗り切るか。打順をいじっていくしかない。

重要なのは岡本和、丸で打線を引っ張る形をつくること。となれば、2人をくっつけた方がいいだろう。そうなると、1、2番を打つ者がいなくなるが、そこは目をつぶってでも2人の組み合わせを優先し、打線に活気をもたらすべき。

1、2番はウォーカー、ポランコに打たせるのもひとつのやり方だ。もちろん、これは苦肉の策。ただし、選択肢として持っておくことは十分にあり得る。本来なら、両外国人の守備を見た時、守備範囲、送球を冷静に考えれば非常に危うい。せめて、その危うさを払拭(ふっしょく)するくらいに打ってもらいたい。それが実情だろう。

打線が機能しなかった翌日は、打順をがらりと変えてみる。つまり雰囲気を一新するということだ。この打線では岡本和が今まで以上に踏ん張って打っていかないと活気は出ないだろう。悪い流れを引きずらず、日々新しい気持ちで臨めるように采配をふるっていくしかない。

ヤクルトに連敗して首位陥落と言っている場合ではない。復帰の時期は見通せないが、坂本、吉川が戻ってくるまで、これまでにも増して厳しい戦いになると覚悟すべきだ。

そしてもう1つ、今回吉川が死球で肩甲骨の骨挫傷を負ったが、これも死球を受ける時の備え練習で、ある程度リスクは軽減できる。よけられないと思った時は背中を丸めること。背中を伸ばしては投球をまともに骨、筋肉で受けてしまう。背中を丸めれば負傷を最小限に抑えることもできる。

顔が上がるから背中が伸びる。顔を上げず、背中を丸める。基本的なことだが、これ以上アクシデントで戦力ダウンしないためには、そういう部分もおろそかにできない。(日刊スポーツ評論家)

巨人対ヤクルト 5回裏巨人2死、右前打を放つ増田陸(撮影・河田真司)
巨人対ヤクルト 5回裏巨人2死、右前打を放つ増田陸(撮影・河田真司)