天王山の広島との首位攻防戦で、今季1勝しか挙げてないマツダスタジアムこその采配に見えた。
巨人阿部監督は2番に坂本を入れ、モンテスは5番に回した。すぐに結果が出る。坂本は広島先発森下に対して今季9打数4安打(試合前まで)。この起用に応え、初回に電光石火の先制ソロを放つ。さらに7番門脇も、森下との相性の良さを発揮し、6回の2点タイムリーで追加点をもたらした。
打線が機能したと感じるが、ここぞの場面で決断したベンチの思惑がはまったということだろう。1勝しかできなかった敵地で、これまでと同じ攻め方からがらりと変えた。勇気も必要だったと思うが、敵地で大きく負け越しているからこそ大胆に采配を振るえたとも感じた。
勝負手は継投でもさえた。3点差にリードを広げた6回には早くも菅野に代打を送る。代打秋広が4点目を奪い、目先のことを考えればここでも代打起用ははまった。
しかも、長期的視点で見れば、57球で14勝目を挙げた菅野は、今後中4日で日曜日のDeNA戦での先発が可能になった。さらに、中5日で再び広島戦も視野に入る。巨人は先発6人目探しが今も不発に終わっていた。
最終局面での連戦は先発が足りないことが予想されたが、この57球降板でローテーションにも光明が差す。佳境の9月を考えた時、非常に大きな投手交代の一手と言えた。
6回からの4イニングは船迫、高梨、ケラー、バルドナード、横川でしのぐ計算どおりの継投で逃げ切り、広島に先勝した。打線に手を入れて得点に直結し、それが菅野の起用法にもプラスに作用した。
言うことがない勝利だったが、それでも門脇が5回にけん制死したことは反省材料だ。好事魔多し。いい流れを断つミスは厳に慎まないといけない。
一方の広島サイドでは3回の攻撃に疑問符がついた。先頭菊池がヒットで出塁も、会沢は空振り三振、森下は送りバント失敗で好機を広げられなかった。ここはバントのうまい会沢が送り、1死二塁として、バッティングのいい森下と、秋山に懸ける方が、確率として高かったように感じた。
打線を組み替え、勝機を見るや好投菅野をスパッと替え、確実に勝ちきった。これは阿部監督が勝負をかけた決断であり、今度は初戦を落とした新井監督がどんな一手を出してくるのか、ますます目が離せなくなってきた。(日刊スポーツ評論家)




