巨人は1軍に復帰した坂本が、2試合続けて「7番三塁」でスタメン出場した。前日は4打数2安打で、一時は同点となるタイムリーもあった。不振で2軍落ちしていたときと比べると、スイングの軌道はよくなっていた。「復調の兆し」は見えていただけに、今試合を注目して見ていた。
第1打席は初回2死満塁だった。1点をリードしているとはいえ、ここで坂本が打てばビッグイニングを作れる。初球の真っすぐを打って、左中間を破る3点タイムリー二塁打を放って期待に応えた。
不振の頃ならこすったような当たりになって、内野フライだったと思う。しかし、トップからインパクトまでのスイング軌道が鋭角的に入らなくなっていた。簡単に言うと、ボールの軌道に対し、点でしか捉えられていなかったインパクトゾーンが長くなった。そのため、インパクトでは詰まっていたが「押し込む形」が作れるようになった。
私にも経験があるというか、引退するまでに誰もが経験する「差し込まれ現象」だろう。ベテランになって体のキレや反射神経が衰えてくる。ただ、現象を小手先の技術でごまかそうとすると、ドツボにはまる。差し込まれないようにインパクトまで最短距離でバットを出そうとすると、ヘッドが外回りしやすくなり、こすったような打球しか上がらなくなる。今季の坂本が陥っていた現象に挙げられる。
差し込まれるのが嫌なら、逆の発想が必要。鋭角にバットを出すのではなく、自分のインパクトゾーンの“入り口”に早くバットの軌道を入れていくような感覚が大事で、それができるとインパクトゾーンを長くできる。このタイムリーのような“押し込む形”が取れるようになる。
ただ、この後の打席を見ると、まだ「これで坂本は大丈夫」という太鼓判は押せない。2打席目は速い真っすぐを意識してフォークに空振り三振。3打席目は内角高めの真っすぐに空振り三振している。そして4打席目は2-1のバッティングカウントから甘い真っすぐを打って三ゴロ併殺。スイングの軌道はよくなっていると思ったが、やはり速い真っすぐを意識しすぎると不振に陥っていたスイング軌道に戻っていた。バットをこねるように使ってゴロになった。
スイング軌道を直しても、全盛期と同じようには打てない。その感覚があるから、差し込まれない意識が強くなりすぎてバットが鋭角に出てしまうのだろう。真っすぐは詰まっても必要以上に恐れず、押し込むようなスイング軌道を崩さないように意識することが大事。もしくは追い込まれるまでは大ヤマを張って、狙い球以外は打たないぐらいの意識も必要かもしれない。一時の大不振は脱却しているが、これからが勝負。どう対応していくかが、今後の分かれ道になる。乗り越えてもらいたい。(日刊スポーツ評論家)




