連覇を目指した侍ジャパンがWBCで初めて4強入りを逃した。ベネズエラに競り負け、準々決勝で敗退。過去5大会は優勝3度、4強2度と好成績を残していたが、今大会は8強で幕を閉じた。
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最後は大谷がショートフライに終わり、連覇を目指す日本の戦いは終わった。各国ともメジャーリーガーがそろっていたが、日本のメンバーを見ても間違いなく過去最強のチームだった。では、なぜ負けたのか? 勝負事は「時の運」があり、仕方ない部分もあるのだが、今後に向けての反省点はあった。
同じ間違いを3度も犯してしまった。初回表、先頭打者に対して内角真っすぐが甘くなって先制ホームラン。3点をリードした5回表1死一塁、2番打者への内角真っすぐが甘くなって2ラン。そして6回表無死一、三塁、7番打者に内角真っすぐが甘くなって逆転3ランを浴びた。
3本のホームランの共通点は、どれも内角を狙って投げた真っすぐが甘くなったということ。カウントを見ると、1発目は1ボール、2発目が2-2、3発目が2-1だった。1発目以外は本塁打だけは避けなければいけない状況で、2発目以外はいずれも打者有利のバッティングカウント。1発目の山本は先頭打者で、2発目の隅田は先頭打者を四球で出したあと、1アウトを取っただけ。3発目の伊藤は2連打された直後に打たれた。どのホームランも投手に余裕がある状況ではなかった。
捕手の若月を責めるつもりはない。しかし長いペナントレースとは違い、負ければ終わってしまうトーナメントでの戦いにシフトチェンジできていなかった。同じチームで同じ打者と何度も対戦するペナントでは、内角を意識させるための内角攻めの必要性は高くなる。しかしWBCのようなトーナメントで、この後の戦いで再戦の可能性が低いなら、1発の確率が少しでも低い攻め方を選択するべきだった。1試合だけで内角真っすぐが甘く入って3本塁打されての6失点。これでは勝てる試合も勝てなくなってしまう。
パワーピッチャーがそろえば、内角を使って力で抑えにいきたくなる気持ちは分かる。しかし、力のあるピッチャーだからこそ、打者は速い真っすぐを強く意識するし、連打で得点するより1発狙いのバッティングで挑んでくる。やらなくてもいい力対力の勝負を避けるべきだった。そこへの対抗策が間違っていたのだと思う。
前回のWBCでは栗山監督がパワー野球を実践し、世界一に導いた。そして今大会は井端監督のもと、同じパワー野球を継承し、メンバーの層も厚くなった。ベストメンバーさえそろえば、日本もパワー野球で勝負できるレベルに達している。この次のステップは、1発野球への対抗策だろう。今大会の反省を生かし、再び世界一を目指して欲しい。(日刊スポーツ評論家)




