ぽかぽか陽気とは裏腹、心の中は「火花バチバチ」の試合のようだった。今季、ソフトバンク初の対外試合は井口ロッテとの対戦となった。昨年までいた鳥越、清水両コーチがロッテに移籍し、自由契約となった大隣がテスト入団。井口監督もホークスは古巣。何かと「因縁」のある両チームの初対決だった。

 試合前。日焼けした顔に笑顔をつくって井口監督は話してくれた。「まだ、選手たちからは監督と呼ばれるより、『井口さん』と呼ばれることの方が多いですよ」。昨年まで現役選手。チーム内にはまだまだ「兄貴分」の雰囲気が漂う。この日も練習中はトンボを持ち、内野ノックを受けた選手の後ろからグラウンドをならしていた。「キャンプ中も宿舎にいると選手から電話がかかってきて『井口さん、バッティング見てもらえませんか』って。(SNSの)LINEもよく選手から来ますしね」。そう言って白い歯をこぼした。

 最下位に沈んだチームの立て直しは厳しい。でも青年監督は「監督」という絶対的な存在感を示すよりも「仲間」としてチーム再建を目指しているように感じた。威厳を示したところでチームはついて来ないということか…。守備中にはベンチの選手は立っていた。少しずつ変わりつつある。

 リーダーは大別して2タイプある。「牛飼い型」か「羊飼い型」。前面に立ってグイグイ引っ張る「牛飼い型」。後ろから押しつつ1つの方向へいざなう「羊飼い型」。さて井口監督はどんな手綱さばきを見せてくれるだろうか。【ソフトバンク担当 佐竹英治】