日本ハム栗山監督の声は、うれしすぎて、上ずった。「えっ? メジャーが? すばらしいね」。来年8月13日に映画「フィールド・オブ・ドリームス」の舞台で公式戦が実施される。新千歳空港で報道陣から夢みたいな話を聞いた栗山監督は、さらに夢を広げた。「じゃあ、栗の樹ファームでもやるぞ! エンゼルス、来ないかな? 栗の樹ファームでエンゼルスとファイターズって、出来ないかな?」。

北海道・栗山町にある「栗の樹ファーム」は同監督の生活拠点。名字が同じ縁で99年に観光大使に就任した同町に、自費を投じて02年に両翼70メートルの天然芝球場を造った。きっかけが「フィールド・オブ・ドリームス」。現地にも足を運び、心に留めた光景を、縁あった土地で自分なりに具現化した後に、日本ハムの監督に就任した。まさに、人生を変えた映画だ。

「引退のきっかけになったのが、フィールド・オブ・ドリームスなんだよね」

日本での公開は90年だった。「映画館に見に行ったよ。骨折して抹消された時。一番、いろんなことを考えているなかで、すごく大きな意味合いを感じて引退の決意をした」。入団テストを受けて切り開いたプロ野球人生を7年で区切りを付けられたのも、夢にまい進する主人公がいた同映画のおかげだったという。

「みんなの夢を実現すること、現実的に発想することがいいこと。夢をしっかりと現実的に形にできるというのは、オレも学ばなければいけない。しっかり肝に銘じて、明日からやっていきます」

首位ソフトバンクとの直接対決前に、最高の英気が養われた。「じゃあ、オレ見に行くわ」。日程的には、東京五輪による中断期間明け最初の試合の日に、歴史的な一戦が開催される。あくまで記者の勘だが、その夢の実現は難しいはずだ。指揮官が現場を離れるわけにはいかない。