いても立ってもいられない。敵地・横浜での日本シリーズ第6戦は午後1時に雨天順延が発表された。ソフトバンクが練習のために球場入りした午後3時半過ぎ。5分ほど遅れて王会長を乗せたハイヤーも球場の正面玄関に到着した。「まあ、今日は土曜日だったし、道路も混んでなかったよ」。笑顔でハイヤーから下りると打撃練習が始まった室内練習場に足を運んで約1時間半、じっくり野手陣のスイングに目をこらした。

2連勝しながら地元福岡に戻ってまさかの3連敗。日本一に王手をかけられ、再び乗り込んだハマスタ。2連続完封負けを含み打線は26イニング連続無得点。打たなければ勝てない。誰よりも大舞台での経験豊富な王会長だけに、雨天順延を打線復調の好機と捉えた。「ウチの打者にとっては(順延で)頭を空っぽにできていいんじゃないかな。この中止をウチにとってはプラスと捉えてね」。室内練習場では正木らにもアドバイスを送った。

王会長は誰よりも日本シリーズを知っている。巨人の主砲として歴代最多の14度のシリーズ出場、77試合も最多なら、通算29本塁打も歴代最多。「日本シリーズ? (MVP副賞の)車はもらっていないけど、シリーズであまり打撃でてこずったことはないよ」。栄光の巨人V9を長嶋茂雄氏とともにけん引してきた。「ウチは負けられないんだからやるしかないんだよ」。王会長は背水のチームを鼓舞するように言うと、ぎゅっと握りこぶしをつくって見せた。

逆転Vへのキーマンともいえる4番山川の打撃練習に熱視線を送った。10月27日のシリーズ第2戦(横浜)で山川にとってシリーズ初となる1号2ランを左翼スタンドに運んだ。1号弾を含め3安打の固め打ちを見せたものの、その後は3試合無安打。「山川はそんなに(強く)振らないで、ジャストミート的にやっていたよ。(ミートの)確率は高かったね。ホームランが出れば一番いいけど、打点がつくと乗っていけるからね」。主砲の復調に期待を寄せた。負ければ終わりの頂上決戦。王会長は豪打復活の逆転Vを願っている。