ぼやきに愚痴が止まらない。7月17日の試合後(巨人戦)。トラ番との短い会見の中、5回も「チグハグ」というフレーズが出た。

岡田語録は他球団の監督も注目している。それを巨人の監督が明かした。阿部慎之助だ。ゲームのポイントとして挙げたのが6回1死の場面。1点差で一塁走者が大山で、打席に坂本。ここで阿部の頭に岡田の言葉が浮かんだ。「走れ、走れというのに、走れへんから」という16日の試合後のコメント。「動いてくるならここかな」。ピンときた。カウント2-2からの5球目。あえてカウントを苦しくするリスクがわかりながら、外角に外した。

大山が走った。エンド・ラン。坂本は食らいつくしかない。だが、まさかのハーフスイング。阿部の読み通りになった。空振り三振で大山は盗塁死。「三振併殺」で巨人はピンチを断ち、阪神はチャンスを逃がした。

岡田の愚痴が、相手にヒントを与える結果になった。これも岡田が口にしたチグハグのひとつだったが、この試合、岡田は大胆な手を打った。1番野口から始まり、植田、豊田の本来控え組を先発で起用。近本、中野をベンチスタートにした。先発メンバーが発表された時のどよめき…。これは岡田が温めていたプランだった。

「若い選手を頭から使う。そういう時があってもいいのかな…と考えている」と確かに語っていた。それをついに試した。やるからにはトコトン。それが結果、ハマらなかったわけだが、その割に淡泊過ぎるのでは? と感じさせる場面が9回表にあった。

1点を追ったこの回。1死から前川がヒットで出た。打席にまた坂本…。ここは同点を狙って送りバントか? それとも代打か? ここまで切り札を出していなかった。ベンチには原口がいる。ここにきての代打成功率の高さはすさまじいものがある。どこで出すのか。だが、坂本はそのまま。そして動きのないまま、併殺でジ・エンド。あまりにアッサリした攻撃に、スタンドはため息に包まれた。

スコアブックに原口の名前は記されることはなかった。岡田は簡単にあきらめるような監督ではない。最後の最後まで、もがく。それがこの夜、見られなかった。ベンチで1点を取りにかかる。常にこの思考で進めてきた岡田だけに、この淡泊さには「?」がついた。

昨年の日本一で追われる立場になった。相手は阪神を分析し、研究する。ターゲットになり、岡田語録も攻略の糸口にしてきている。それを越える。だが、残念ながら現状、力が伴っていない。

球宴まで残り3試合。貯金は「2」があり、3連敗しない限り、借金にはならない。ただしだんご状態のペナントレース、上に3チームいるのは厄介な状態だ。簡単に抜け出すチームはないだろうが、簡単にこぼれていくことはあり得る。まずは中盤に迎えたヤマ場。勝負の9月、10月を迎えるためにも、ここで踏ん張るしかない。チグハグに歯止めをかける…。ベンチワークが問われることになる。【内匠宏幸】(敬称略)(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)

巨人対阪神 6回表阪神1死一塁、坂本は三振に倒れる(2024年7月17日撮影)
巨人対阪神 6回表阪神1死一塁、坂本は三振に倒れる(2024年7月17日撮影)