昨年、阪神に在籍したボーアが記録した本塁打数は何本だったでしょうか? 答えは17本。同じ左打者、近大を出て入団1年目の佐藤輝明がこの日の巨人戦でその数字に並んだ。

虎党、特に関西地区のファンは連日、飽きるほど佐藤輝の報道に接しているはず。おかしな言い方だが、そのせいで感覚がマヒしているかもしれない。実はこちらがそういう状態なのだが、やはり佐藤輝の活躍は信じられないレベルだ。

佐藤輝の巨人戦初アーチが出た阪神だったが敗戦。ゲーム差は「7」となった。それでも首位を快走している要因は、いろいろあるだろうが佐藤輝の加入もその最大級のものだ。佐藤輝自身が打つのはもちろん、周囲の打者に好影響を与えている。まさにルーキーではなく助っ人級の働きだ。

一体、その価値をどのぐらいに評価すればいいのだろうか。早過ぎるけれど過去の契約更改を記録担当に調べてもらった。

過去最高アップは03年のダイエー和田毅だ。1500万円から8000万円。26試合に登板し、14勝5敗。新人王も獲得した。星野仙一率いる阪神を日本シリーズで倒したあのシーズンのことだ。

2位は99年の西武・松坂大輔だ。高卒ルーキーながら25試合で16勝5敗をマーク。最多勝、新人王、ベストナイン、ゴールデン・グラブ賞を総なめにし、1300万円から7000万円となった。アップ率としては和田を抜き、過去最高の438%アップという。

ともに投手。新人年から活躍するのは圧倒的に投手が多い。野手はどうか、と言えば過去最高は巨人・高橋由伸(98年)と中日・福留孝介(99年)。ともに1300万円から4200万円になっている。

そこで佐藤輝である。優勝できるかどうかも要素にはなるだろうがこの勢いなら高橋由、福留を抜く可能性は十分あると思う。昨年からのコロナ禍で球団の収益が悪化していることが問題だが阪神球団のメンツにかけても記録級のアップは予想されるのではないか。

ちなみにボーアの年俸は2億7500万円と言われていた。それを考えれば一気に1億円でも…と思うけれど他の選手との兼ね合いもある。もちろん、まだこんな話をする時期ではないのだが、ライナーでスタンドに飛び込んだ1発を見て「ホンマにごっついヤツが入ったなあ…」とつくづく思ってしまう。(金額は推定、敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)