DeNA側には申し訳ないが、これが逆なら失神しそうな展開だ。

強打のDeNA打線が放った安打は11本。それで得点「0」だから苦しい。記録部によると阪神投手陣が無失点で抑えた過去の試合で最多被安打は「12」なので、それに続くレベルだ。

DeNAからすればなんとも拙攻、阪神からすれば守りに守ったということだろう。前日のサヨナラ勝ちに続き、連日の「1-0」勝利。得点は最少だがDeNA相手にこの連勝の値打ちは相当、大きいと思う。

そんな守りの中で「ほお」と思ったプレーがあった。3回表、1死二、三塁。ここでDeNAの主砲オースティンが放った当たりはセカンド後方、右中間のあたりへ飛んだ。誰が取るのか。そう思って見ていた。スルスルッと走ってきてキャッチしたのは右翼スタメンの佐藤輝明だった。

なんということのないプレーにも見える。だが佐藤輝の動き、スタートがなかなか素早かったし「自分が捕る!」という強い意思を感じた。それはなぜか。答えは練習中にあった。外野守備走塁コーチの筒井壮が“謎解き”をする。

「右中間の少し前、あのあたりは飛球が垂直気味に落ちてくるんです。特にこの日のように浜風が強い日は。もちろん、それは分かっているので練習中からそこにノックを打っていた。そのノックで(佐藤輝は)2球、あの辺の球に追いつけなかったんです。それを試合では捕れた。佐藤輝は捕球はうまいし、練習からしっかり確認しておいたのがよかった」

シーズンも1/3が過ぎたここに来て外野を守る佐藤輝だが、経験はあるし、そこにしっかり準備も加われば、安心できるということだ。ここは犠飛にもならなかったし、門別啓人を助けるプレーになったのである。

佐藤輝だけではない。1回の中野拓夢もそうだ。牧秀悟の当たりに、佐藤輝が追いついたところのもう少し前に背走し、キャッチ。ことなきを得た。さらりとやっているが名手の域に達したプレーだろう。

遊撃・木浪聖也もダイブし、アウトにできなくても外野には抜かせない場面が3度、あった。1回にいきなり出たヘルナンデスの横っ跳びもあったし、大山悠輔の捕球もうまい。ジリジリする展開の5回に好投手ケイからマークした虎の子の1点を、先発、ブルペンの投手、そして守備陣で守り切ったシブい勝利だ。(敬称略)【高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「虎だ虎だ虎になれ!」)

オースティンの飛球を捕った佐藤輝明は軽快にバックホーム
オースティンの飛球を捕った佐藤輝明は軽快にバックホーム