春夏連続甲子園を狙う仙台育英が大河原商に7回コールドで快勝した。右ひじに不安を抱えるエース佐藤世那投手(3年)が今夏初登板。先発し、4回を1安打4奪三振無失点にまとめた。

 予定の3イニングを終えた佐藤世は、佐々木順一朗監督(55)に「もう1回、投げます」と志願した。その4回は相手中軸からスライダー、フォークで連続の空振り三振。「フォークが理想の落ち方だった」と納得してベンチに戻った。

 右肘の不安もあり、春季東北大会以降、実戦登板は1度だけ(7月4日、盛岡四戦で2回)だった。「対打者の感覚が落ちていた」という中、監督から先発を示唆されたのは2日前。初回先頭打者に四球を出すと思わず目をつぶった。

 それでも左肩の開きの早さを修正し、回を追うごとに球筋が安定したのはさすが。楽天上岡スカウトのスピードガンでは最速140キロをマークした。佐々木監督と上岡スカウトの評価、そして佐藤世の自己評価も「本調子ではないが、投げる中で良くなったのは好材料」と見事に一致したピッチングだった。

 降板後はベンチでアイシング。「久しぶりに投げたので、いつもより、張りが来ると思います」と話したが、試合中は肘を気にする様子はなく、ベンチでもレガーズなどの整理整頓に積極的に励んだ。初登板はまず、足場を固めた試運転。セナの最後の夏がスタートした。【金子真仁】