秋田商が西目を下し、2年ぶりの4強進出を決めた。最速142キロの左腕エース成田翔(3年)が16奪三振、5安打1失点(自責0)で、昨秋の県3位決定戦で敗れた相手に雪辱した。

 エース成田翔が雄たけびを上げた。3回を除く毎回の16奪三振、うち11個を空振りに仕留めた。169センチと小柄で、同校OBのヤクルト「石川2世」と期待される左腕は「スライダーがよかった。自分のピッチングができた」。笑顔で快投を振り返った。

 初回2死二、三塁からパスボールで失点した。だが「まだ初回。(後続を)自分が0に抑えれば、ひっくり返せる」と動じなかった。スライダーで追い込み、中盤からは直球を決め球に三振の山を築いた。16奪三振は、昨秋の地区予選2回戦の「19」に続くセカンドベスト。得点圏に6度走者を背負ったが、危なげない投球で窮地を切り抜けた。

 4回裏に逆転後はギアチェンジし、さらに気合を高めた。特に西目エースの4番佐藤泰成(3年)にはライバル心をむき出し。初回に二塁打されたが、6回表の1死三塁と8回1死一、三塁の場面では、ともに空振りの三振に切り捨てた。昨秋の県3位決定戦で投げ合い、東北大会出場を阻まれた相手に「借りを返すつもりだった」。

 初戦から3戦連続登板。2回戦の秋田西戦は中盤に制球が乱れ、計180球完投と本調子を欠いた。3回戦の能代西戦で修正し、本来の投球を取り戻した。太田直監督(36)も「ピンチで三振を取ったのがよかった。これまでで一番の出来。すごかった」と絶賛。今日21日の準決勝で秋田工と対戦する成田翔は「この調子を維持したい」と、甲子園まで残り2戦に闘志を燃やした。【佐々木雄高】

 ◆成田翔(なりた・かける)1998年(平10)2月3日、秋田市生まれ。小学4年から野球を始める。秋田商では1年春からベンチ入り。同夏の甲子園2回戦の富山第一戦で8回から登板して無失点。家族は祖父母、両親、妹。左投げ左打ち。169センチ、70キロ。血液型B。