昨秋県大会準優勝のシード校、鹿児島城西が徳之島を下し09年以来6年ぶりの4強入りを決めた。沖縄県出身のエース右腕、上原幸真投手(3年)が解禁した縦スライダーなど多彩な変化球で翻弄(ほんろう)し、5安打1失点完投で貢献した。

 エース右腕の上原が、宝刀スライダーで6年ぶりの4強に導いた。4回戦でシードれいめいを撃破して勢いに乗る徳之島の強打を翻弄(ほんろう)。この日解禁した勝負球が面白いように決まった。横のスライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップ、シュートに加え、初めて多投した「大きく縦に落ちる」という縦のスライダー。「気持ちを込めて投げている」と気迫の5安打1失点完投。準優勝した09年以来の快進撃で、甲子園まであと2勝だ。

 沖縄県の生まれ。故郷を離れ、鹿児島城西に進学したのは同郷の金城和彦監督(45)に誘われたからだった。沖縄尚学のコーチで99年のセンバツ初優勝に貢献した金城監督の指導の下、メキメキ成長。経験豊富な辛口の指揮官も「力みもあったが良かった。ボールを低めに集め丁寧に投げていた」と、この日の投球をたたえた。

 24日の準決勝は、夏の鹿児島大会2連敗中の鹿児島情報戦だ。だが上原に臆する様子はない。「ガンガン攻めるところは攻め、雑にならないようにしたい。自分たちのプレーをしていけば勝てる。1つ1つ相手を倒し甲子園につなげたい」と意気込む。甲子園初出場へ、上原が大車輪の活躍を見せる。【菊川光一】

 ◆上原幸真(うえはら・こうしん)1997年(平9)7月4日、沖縄県生まれ。野球は与那原小1年の時、与那原マリンズで始める。与那原中では野球部に所属し3年で野手から投手に転向。スカウトされた鹿児島城西に進学。右投げ右打ち。最速139キロ。遠投約80メートル。174センチ、64キロ。家族は両親と妹2人。血液型A。