新潟第一が今夏最初の勝ち名乗りを上げた。開会式直後のオープニングゲームで三条商を6-2で破り、3年ぶりに初戦を突破した。1回2死満塁から、主将の6番高橋リオ左翼手(3年)が左越えの3点適時二塁打を放って勢いをつけ、先発・田中雄大(3年)、2番手・小嶋弘人(1年)の継投でリードを守り切った。開会式では、新潟県央工の鈴木雄真主将(3年)が84チーム(90校)を代表して選手宣誓を行った。

 新潟第一・高橋リオは、二塁上からガッツポーズで歓声に応えた。1回表にいきなり訪れた2死満塁のビッグチャンス。三条商・佐藤風雅投手(3年)の直球をフルスイング。「クリーンアップが凡退したので、このまま抑えられたら相手に流れがいってしまうと思った」。主将としての使命感が、思いきりの良さにつながった。勝尾俊彦監督(33)が「初回の3点のリードが大きかった」と言うように、主導権を握る一打が勝利を呼び込んだ。

 高橋リの背番号は10。今春の県大会は1番を背負っていた。だが、夏の大会直前になっても投球が安定せず、田中にエースナンバーを譲った。それでも、落ち込むことなく気持ちを切り替えた。「打撃で貢献する」。もともと長打力があり、夏に備えてスイングをチェック。新通小時代、剣道にも取り組んでいた。当時を思い出して自宅で木刀を握った。剣道の素振りを繰り返すことで手首を強化した。そして「練習から常にフルスイング」(高橋リ)。夏の初戦、そんな努力の成果が出た。

 勝尾監督は「選手が伸び伸びとやった」と、開会式直後の雰囲気にも惑わされずに戦ったナインをたたえた。6月17日の組み合わせ抽選会で開幕試合が決まると、すぐに対策に取り組んだ。通常よりウオーミングアップの時間が短くなることを想定し、10分で仕上げるメニューを取り入れ、調整してきた。

 勢いをつけ、10日の2回戦では昨秋、今春の県大会を制した日本文理と対戦する。高橋リは「楽しみ。のまれることなくぶつかりたい」。王者と渡り合う準備はできた。【斎藤慎一郎】