第1シードの日本文理が新潟に10-0で5回コールド勝ちし、2年ぶりの8強入りを決めた。1回裏1死二塁で3番川村啓真右翼手(3年)が左中間に先制の適時三塁打。これを皮切りに12安打の猛攻を見せた。

 主砲の豪快な一打がチームを勢いづけた。1回裏の先制のチャンス、左打席に入った日本文理の3番川村は、鋭いスイングで新潟の先発熊倉智也投手(2年)の直球を左中間に運んだ。「思い通りの方向に打てた」。この1点を皮切りに、強力打線が本領を発揮。4回まで毎回得点と、畳み掛ける攻撃で新潟に反撃の隙を与えなかった。

 大井道夫監督(75)は「川村の先制点が大きかった」と言う。新潟は1回戦の長岡農戦で32-0など、3試合で48得点。打線が好調な相手に対し、指揮官は「序盤がポイント」とみていた。川村も十分に理解していた。「先制点が大事だった」。着実に走者をかえすため、無理に引っ張らず、逆方向を狙う。長打はその延長だった。

 3回戦の新発田戦では、川村は5打数2安打1打点。2安打は二塁打と三塁打。初戦の2回戦、新潟第一戦も二塁打1本の3打数1安打1打点。「大会前から打撃は調子がいい」と、3試合連続で長打と打点を記録中だ。その中で修正も怠らない。新発田戦では凡打はすべて飛球。打ち上げないよう、ミートして打ち返すことを心掛けた。

 1年の春から主軸を務めてきた北信越屈指のスラッガー。「常に本塁打を狙っている」という欲はある。それ以上に「まずチームが勝つための打撃が必要」と、冷静に打席に立つ。その成果が2年ぶりのベスト8。「結果を出し続けたい」。イメージ通りの打撃を重ね、3年ぶりの甲子園を引き寄せる。【斎藤慎一郎】