26日の埼玉大会決勝は、3連覇を狙う花咲徳栄と、4年ぶりの甲子園出場を目指す浦和学院の戦いとなった。ドラフト候補の花咲徳栄・西川愛也外野手(3年)が、中堅へ今大会4本塁打目のランニング満塁弾を放った。50メートル6秒2の「スピードスター」の活躍で、山村学園に7回コールド勝ちした。

 7回。5点を追加しなおも2死満塁で、西川がカーブにうまくバットを合わせた。打球はグングン伸びた。中堅手が追い付かないと判断するとギアが入った。二塁を回り、三塁コーチが手を回していることを確認すると再加速した。「三塁コーチが手を回したのを見て(本塁を陥れる)自信はありました」と端正なマスクをほころばせた。

 今大会4本塁打目。高校通算30号を、4回戦に続くランニング弾で飾った。走塁のお手本は「レッドスター」だ。時間があれば、プロで歴代9位の通算381盗塁を決めた元阪神の赤星憲広氏(41)の動画を見る。「特に、リードの仕方、スタート時の体の切り方を参考にします。腕を振る速さを意識したら、入学時より足が速くなりました」。投手から野手に専念したこともあり、50メートルは6秒6から0秒4も速くなった。

 練習試合を含め、今月だけで3本のランニング弾を放っている。それも、打撃が好調ゆえのこと。この日も2安打5打点と絶好調だった。暑さ対策にも余念がなく「春の大会が終わってから、夏にバテないよう、アップの時に50メートルダッシュを20本走っています」。お風呂ではしっかりお湯につかり、体の疲れを取ることを心がける。

 4回戦でランニング弾を放った前日には、ユニホームを盗まれる災難にあった。西川は「まだ戻って来ないです」と苦笑いしたが、浦和学院との決勝戦へ向け勢いは加速する。「勝って甲子園に帰る。とにかく気持ちで負けないように、泥臭く戦いたいです」。3連覇を目指し、スピードスターが頂点まで突っ走る。【和田美保】