春の東北最強はオレたちだ! 第90回記念選抜高校野球大会(3月23日開幕、甲子園)に36年ぶり4度目出場の日大山形で20日、入場行進で掲げる選抜旗授与式と壮行会が行われ、斎藤史弥主将(2年)が県勢最高タイの4強進出と、宮城県勢を抜く東北6県勝率1位達成を誓った。過去無敗の初戦では、昨夏1回戦で惜敗した神宮大会王者・明徳義塾(高知)との雪辱戦も熱望し、新たな歴史を刻むつもりだ。

 真っ赤な選抜旗を手にし、斎藤主将が野心に燃えた。「チームとしては山形県勢最高のベスト4が大事なワードになる。超えたい気持ちもある」。04年の羽黒4強の快進撃は、今でも語り継がれている。「自分たちの代で違った歴史を刻みたい」と力強かった。

 日大山形は初出場の73年にも、大きな歴史の1ページを刻んでいる。47都道府県で唯一未出場県だった山形の高校野球界を救った。県勢初勝利も持ち帰った。以降、県勢は10勝12敗。勝率4割5分5厘は、東北勢1位の宮城に肉薄する。今大会は宮城県勢の出場がないため、2勝すれば上回り、トップに立つ。斎藤も「そういう勝率を自分たちの手で残せることは、やりがいがある。皆さんに喜んでもらいたい。輝きたい」と記録にもこだわる。一方、夏の甲子園では49地区最低勝率の2割8分8厘。負のイメージを払拭(ふっしょく)する好機だ。

 例年よりも雪が多いため、今月18日に宮城県内に遠征し、今年初の実戦練習を行った。夏は4度の経験がある荒木準也監督(46)は「春は初めて。あと1カ月でどう仕上がるのか不安しかない。紅白戦やっても、思った以上にミスも多かった」と苦笑い。その脇で斎藤は「自分は4打数3安打1四球。現時点では良いスタートを切れた」と強気を貫く。週末の素振り1日1000回。室内での打撃練習中に補食する白飯1・5合。今冬で5キロ増量にも成功した自信がみなぎっていた。

 昨夏の悔しさも、いち早く晴らしたい。「明徳のクジを引くって心に言い続けています。自分が打って一泡吹かせる。打てる気しかしない」。今週末に行う予定の“サバイバル紅白戦”で、来月上旬に始まる宮崎合宿メンバーが決定する。「練習中は仲間に手を差し伸べている暇もない。生きるか死ぬか。全員がライバル」。闘争心むき出しに、山形県勢の意地を甲子園で披露する。【鎌田直秀】