今春のセンバツに出場した日大山形エース右腕・佐藤洸太(3年)が、米国留学の道を選んだ。エドモンズ大(ワシントン州)進学が、1日までに決定。大リーグ・レッドソックスで活躍する松坂大輔(38、現中日)の姿に魅了され、小学生時代から抱き続けてきたメジャーリーガーへの夢。色紙には「世界一」と決意を書き込み、野球の本場で飛躍に挑む。

佐藤洸が夢を実現する1歩を踏み出した。「将来的な目標は、メジャーの球団に声をかけていただいて、米国のドラフトに指名されることです」。堂々と胸を張り、笑顔があふれた。

中学卒業前に1度は両親の猛反対にあったが、初志貫徹。高校入学後も「夢はメジャーリーガー」と公言し続けてきた。荒木準也監督(47)にも決意の強さを認められた。同監督の知人を通じ、入学しやすい2年制大学に絞って、米国内の6大学を約1週間かけて練習に参加し、投球を披露してきた。「2年制の大学リーグで優勝経験もあるし、投手のレベルが一番高かった」とエドモンズ大学に決めた。

きっかけは09年の第2回WBC。日本の2連覇に貢献した松坂に衝撃を受けた。「日本人でもメジャーの中心投手になれるんだ」。学校や少年野球の練習を終えると、録画した大リーグ映像に、くぎ付けになる毎日だった。

日大山形でも、昨秋の東北大会1回戦で学法石川(福島)戦に3回途中から登板。仙台育英(宮城)との2回戦では1-0完封。酒田南(山形)も連続完封して4強入り。22回1/3連続無失点でセンバツ切符に貢献した。背番号1に昇格した今春センバツでも智弁学園(奈良)との初戦に先発。130キロ台後半のキレ味ある直球に、90キロ台の変化球を交え、6回途中4失点と粘投を見せた。

すでに米国で紅白戦に登板し、手応えも得ている。「走力やパワーはすごいですが、打者が緩急に対応できていなかった」。自慢の制球力に磨きをかけるだけでなく、183センチ、75キロの体をさらに大きくし「『日本人がパワーでは勝てない』という言葉を覆したい」と意気込んだ。

来年9月の入学に備え、同6月には渡米予定。「勉強ができないと野球をやらせてもらえない」と、すでに英語や数学を猛勉強中だ。ハンバーガーやピザの食生活には「1週間行っただけでも和食が恋しくなった」と不安な表情を見せたが、料理の腕前も磨いている。「2年後までに認めてもらえれば一番良い。4年制大学に編入して、さらに高いレベルで野球をする選択肢もある。背中を押してくれた監督さんにも、お金を出してくれる親にも感謝し、恩返ししたい」。山形から世界に挑む。【鎌田直秀】