室蘭地区で、駒大苫小牧が苫小牧中央に競り勝ち、7年連続春全道出場に王手をかけた。今春から背番号1を背負う2年生エースの北嶋洸太が今大会初登板。2失点も、9回6安打無四球、11三振を奪う力投で初完投し、勝利に導いた。

終盤になるにつれギアを上げた。初回に自己最速を1キロ上回る138キロをマーク。逆転した直後の8回裏、3人目の打者への初球では143キロと、さらに更新した。「先輩たちが点を取ってくれて気持ちが上がった」。17年全国中学決勝で完全試合を達成し優勝した同学年の好投手、苫小牧中央の左腕・根本悠楓と投げ合い、毎回の11三振を奪う投球で、勝利した。

駒大苫小牧の2年生エースは、昨年の大学日本代表で、14年センバツに出場した154キロ右腕、伊藤大海(苫小牧駒大3年)以来。その伊藤と同じ函館東リトルシニア出身で、兄凌太(函館大4年)がチームメートだったこともあり、4月には直接、変化球の握りやフォームなど技術面を学び、この日の試合で実践した。「中盤までは、うまく変化球が使えた。終盤に甘い球を打たれたので、しっかり修正したい」と次戦への反省も忘れなかった。

精神面は、OBのヤンキース田中将大のエピソードを教訓にしている。茶木圭介部長(41)に聞き「気持ちが強くピンチの時こそ失点しなかったと言われた。そんな投手になりたい」。19年初登板を控えた前日15日の全体練習後、午後5時からランニングやフィジカルトレーニングを自主的に2時間消化。佐々木孝介監督(32)は「練習から常に全力で取り組む姿勢がエースとして申し分ない」と言う。2年春から重い番号を背負うだけの心構えを、行動で示してきた。

倒したい相手がいる。背番号10で臨んだ昨秋の全道大会準決勝は、札幌大谷戦に先発し、4回2/3を5失点で降板。チームも敗れた。「まずは地区を突破して全道に出たい。そこで弾みをつけ、夏にリベンジできるように」。伸び盛りの新エースを中心に、駒大苫小牧が17年秋以来4季ぶり道王座を取り返す。【永野高輔】