最速153キロの左腕、横浜(神奈川)の及川雅貴投手(3年)が、エースナンバー奪還へ歩みを進めている。

掛川西(静岡)の招待試合に、7回からリリーフ登板。3回を投げ、打者10人に対して36球。1四球を許すも被安打はなく、5奪三振の力投。直球と変化球のバランスが良くなり、センバツで露呈した制球難はかなり改善された印象だ。

ネット裏では阪神、西武のスカウトも視察。阪神吉野スカウトは「センバツと比べると、制球はだいぶまとまってきている。いろいろ考えながら投げているのも伝わる。セットポジションであれだけの球速が出るのはすごい」とコメント。そのセットポジションからの146キロが、この日の最速だった。

春季県大会では「10」に変更した背番号は、センバツ時と同じ「1」に戻っていた。ただ、平田徹監督(36)は「これで決定ではないです」と明言。今後も招待試合があるため、暫定の背番号になっている。右腕・木下幹也投手、左腕・松本隆之介投手の両2年生も安定感が出てきており、及川に「1」の確約はない。

「高校最後の夏の大会なので、背番号1はやっぱり取り返したい。これまで悔いの残るような試合が多かったので、最後にそれも取り返したいです」。名門横浜の投手陣の主として、及川は「1」「信頼」の奪還に燃える。力投するその背後には、掛川城がそびえていた。【金子真仁】