福岡大会では、V候補・福岡大大濠が延長12回の激戦を制して、30年ぶり夏甲子園へ初戦を突破した。

2度のサヨナラのピンチをしのいで粘り勝ち。元ダイエー投手でソフトバンクの星野順治育成担当ディレクター(45)の長男、恒太朗投手(3年)が「守護神」としてチームの勝利に貢献した。

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球にこん身の力を込めた分、ガッツポーズにも力が入った。福岡大大濠の「守護神」こと、星野が、大ピンチを切り抜け、チームに勝利を呼び込んだ。3-3で迎えた9回1死三塁から3番手として登板。「変化球でなく、パワーを信じました。120%の力ですべて投げました」。気合で2人を打ち取って雄たけびを上げた。

元ダイエー投手の長男という鳴り物入りでの高校入学だったが、1年秋から右肘を痛め、約半年間投げられない日々を送った。制球を乱すことも多かったが、今夏に向けては「お前がクローザーだからと監督さんから言われています」と意気に感じている。「自分もメンタルが弱いと思っている。メンタル強化のため『勇気がもらえる145の言葉』という本を読んで気持ちを鍛えてきました」。つらかった日々を思い出し、高校最後の夏に懸ける思いを右腕に込めた。

延長11回には無死二塁で右翼の守備についていた背番号10の深浦幹也投手(2年)が登板。「何も考えず投げました」と再び大ピンチを無失点で切り抜けると、延長12回に敵失で1点を勝ち越し逃げ切った。八木啓伸監督(41)は「こういう試合を勝ちきるように練習してきた。何度も窮地に立たされたが、粘った選手たちをほめてやりたい」と声を弾ませた。

クローザーという大役でチームを勝利に導いた“サラブレッド”の星野。「こういう試合を勝てたのは自信になります」。頼れる守護神がチームを甲子園へと導く。【浦田由紀夫】

◆星野恒太朗(ほしの・こうたろう)2001年(平13)10月24日、福岡市生まれ。小1から野球、水泳、サッカーを同時に始め、小3から福岡中央リトルで硬式野球に専念。姪浜中で糸島ボーイズに所属し、中3でU15日本代表として世界大会に出場。福岡大大濠では1年夏からベンチ入り。177センチ、82キロ。右投げ右打ち。家族は両親と妹。