春準優勝の智弁学園が激闘を制し準々決勝に駒を進めた。

「完全な負けゲーム」。小坂将商監督(41)は額の汗を拭いながら試合を振り返った。最大7点のリードを許した苦しい展開。「5回までに1点返せばひっくり返す自信はあった」という指揮官。その言葉通り、4回1死一、三塁で7番田中晴輝内野手(3年)が左前適時打で1点を返すと、おもしろいように打線がつながる。4回にもう1点を加え、5回に3点、6回に1点を追加し気づけばその差はわずか1点。球場が異様な雰囲気に包まれる中、1死一塁で6番吉村誠人(まさと=3年)が左越え2ランを放ちついに逆転。「素直にうれしかった。強い打球を意識した結果、フェンスを越えてくれてよかった」と笑顔を浮かべた。

土俵際まで追い詰められるも底力を発揮し辛勝した。坂下翔馬内野手(3年=主将)は「次戦も全員で戦う」と気を引き締めた。昨夏の代表校との激闘を制し、3年ぶり夏の頂点へ勢いにのる。