打撃マシンがなくても勝てる! 海星が「手作り左対策」を成功させ、17年ぶりの夏甲子園勝利を手にした。4回に5番主将坂本の左前適時打で先制すると、6回には2番大串が高校通算12号となる右越えソロ。加藤慶二監督(45)も「勝ち方を忘れていました」と照れ笑い。1976年(昭51)「サッシー」こと、酒井圭一氏(61)を擁して4強に進んで以来の3回戦進出だ。
苦肉の策が実った。聖光学院のエース須藤はスライダーを武器にする技巧派左腕。組み合わせ抽選後、指揮官は頭を悩ませ、長崎大会初戦の直前に1度だけ試した秘策を解禁した。
実は海星野球部には打撃マシンがない。約2年前に壊れて以来、基本的に部員が打撃投手を務めてきた。だが、甲子園メンバー18人は長崎大会でマウンドに上がった投手3人はもちろん、野手も含めて全員が右投げ。甲子園に連れてきた部員を見渡しても左投手がいなかった。そこで通常のマウンドより2~3メートルほど一塁側から右腕に投げさせ、左腕の角度を無理やり頭にたたき込ませる作戦を毎日敢行したという。
この日はスタメン9人のうち6人が左打者。試合に入れば「外角に緩い球を投げさせる中で、最後は内角を狙え」との指令を遂行した。5月に巨人丸の打撃フォームをまねてから急成長したという左打者・大串の1発は、背中から来る内角直球を強振したもの。チーム全体としても無四球の須藤に8安打を浴びせ、3点をもぎ取った。
4回に先制打を呼び込む二塁打を放った右打者・4番高谷も「(須藤は)思ったよりも角度がなくて打ちづらくなかった。練習の方が角度がきつかった。かなり役に立ちました」とニンマリ。涙ぐましい!?努力が実を結び、海星ナインはしてやったりの表情だった。【佐井陽介】

