日本高野連は20日に運営委員会を開き、夏の甲子園の開催可否を協議する。その後の理事会を経て、午後6時からの会見で今春センバツに続く中止を発表する見込みだ。

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夏の甲子園34回出場を誇る龍谷大平安(京都)の原田英彦監督は60歳の誕生日を迎えた19日に、苦しい胸の内を明かした。「還暦です。この状況は嫌ですね」。電話の声は普段と変わらず元気だったが、部員たちと会えず、寂しきバースデーとなった。

新型コロナウイルス感染拡大のため休校中で、部活動は3月6日から停止している。メンタル面を心配して今月からスタートした3年生の実家への家庭訪問は32人全員が終了した。その途中で夏の甲子園大会中止報道があった。「決まったわけじゃない。可能性はあるから」と訪問先で必死に鼓舞した。

2カ月以上も全体練習はできていない。京都も緊急事態宣言は継続。夏の甲子園中止が20日に決定する状況に「厳しいのはわかっているが、感染状況も改善してきている。もう少し結論は待ってほしいという思いもある」と複雑な思いを明かした。甲子園を目指し龍谷大平安の門をたたいてきた3年生部員にとって、憧れの舞台がなくなることがどれほどのことなのかは誰よりもわかっている。しかしまだ選手を集められる状況ではない。「彼らもニュースや記事などは見るでしょう」。6月1日に学校再開を予定。再始動した時に、直接思いを伝えるつもりだ。

甲子園大会が中止になっても、地方大会は開催する動きもある。京都府高野連は「全国大会の方向が決まらないことには」と話すにとどめる。代替大会を行うとしても、球場の確保などから延期することは難しく、7月に行う必要がある。原田監督は「今後のことは全然わからない。早くチームで活動したいですね」と不透明な状況にも前を向いた。